第5章 初めて会ったきみ
二宮スマイルを物ともせず
幸せそうにケーキを見つめる彼女。
こんなにもケーキを
笑顔で見つめますかねって
言いたくなるほどの100%の笑顔で。
「 今日も美味しそう... 」
あまりにも可愛くて
見惚れてしまった。
いや、衝撃と言ったほうがいい。
「 あっ、」
私の視線に気づいた彼女が
少し驚いた様子でお辞儀をした。
そのお辞儀で我に返って
彼女から視線を外した。
「 どのケーキがお勧めですか?」
ショーウィンドウに入った
ケーキを見つめながら
そう言う彼女。
店内には俺しかいないし
独り言の音量でもないし。
「 私?」
一瞬店員という職務を忘れてしまった。
初対面の客に「 私?」だなんて。
「 はい あなたです 」
手で口元を隠しながら
くすくす笑う彼女。
どうしても可愛くって仕方ない。
言っとくけど毎日女のお客さんを
こんな目で見てる訳じゃないから。
「 全部お勧めだけど 」
自分って店員失格だよな。
まあ、全部美味しく作る
大野さんが悪いかな。
「 そうだ、松本さんいますか?」
「 松本?」
潤くんの知り合いなのかな?
全然聞いたことなかったけど。
「 何が今日のお勧めか
いつも松本さんに聞いてるんです。
どれも美味しそうで
自分じゃ決められないから 」
何よそれ。
ちょっと嫉妬しちゃうじゃない。
何か潤くんを呼びたくなかった。
「 ルージュブランは?
冬限定だし、可愛いし 」
私が答えたからかは知らないけど
まあ絶対にそのせいだけど
驚いた表情をする彼女。
「 ふふっ 可愛いしって 」
「 何よ 」
ふふっと笑う彼女。
やっぱ笑顔が素敵だなって
改めて思った。
「 じゃあそれにしようかな... 」