第4章 変わらない君
何も考えれないまま
病院の中庭のベンチに座った。
子供たちの遊び声が
あらゆる気持ちを調和してくれた。
「 どうしろっていうのよ... 」
彼氏の資格がない自分が
このまま側にいていいの?
いっその事このまま
彼女の前からいなくなるのは?
記憶のない彼女にとって
それが一番かもしれない。
「 あの... 」
そんな考え事を遮ったのは
考え事の原因である彼女だった。
ドクっと胸が波打つのが分かった。
「 どう、したの...?」
戸惑いと不安で声が震える。
いくら車椅子だからって
事故の次の日に
ひとりで外出るなって。
「 どうしてもお話したくて... 」
地面に目を伏せて
そんなことを言う彼女に胸が締まる。
病室から逃げて
また彼女を傷つけてたんだ。
「 先生から聞きました...
記憶がなくなってしまったこと。
わたし、あなたにひどいことを... 」
瞳に涙を溜めて
すぐにでも号泣しそうだ。
お願いだから
そんな顔しないでほしかった。
に非はないのに。
「 あなたの記憶だけ...
あなたの記憶だけ無いの...
なんて最低なの... 」
そう言うと彼女の瞳から
大量の涙が溢れ始める。
先生の言う通り。
本人が一番辛いに決まってる。
それなのに
こんな私のためにも泣いてくれる。
受け入れるのだって辛いのに
何よりも先に私の所に来てくれる。
どれだけ彼女は優しいの?
「 大丈夫、大丈夫だから。
最低なんかじゃない 」
最低なのは私のほうだ。
喧嘩しても放っておいて
挙句の果てには事故に合わせた。
彼氏失格って言って
ただ逃げてただけ。
そうやって逃げたら
また彼女を苦しめるだけだ。
もうこれ以上苦しめたりしない。
「 ごめんなさいっ... 」
「 また今から始めればいい 」
泣き崩れる彼女の背中を
優しくさすった。
何偉そうなこと言ってんだって
自分でも思ったけど
自分の言ったことに
自分が一番納得した。
また今から始めよう。
どんな形でもいい。
ただ側にいれたらいい。