第4章 変わらない君
「 わたしたち... 友達?」
グサッと胸に刺さった気がした。
自分には彼氏の資格が
ないってことを自覚した。
『 彼氏失格 』
その言葉が頭の中に繰り返される。
「 そう... 友達... 」
作り笑顔で
平然と嘘をついた。
彼氏の資格がないのなら
友達として側にいよう。
相葉さんや先生に言われた通り。
「 大切な友達だった?」
「 なんで大切って?」
「 あなたの記憶が無くなっただけで
記憶のほとんどが無くなった気がする 」
そんな嬉しいこと言わないでよ。
友達って嘘ついたばっかなのに。
もう彼氏に戻りたくなった。
「 親友みたいなもんだったし。
ずっと一緒にいたっていうか 」
「 あなたみたいな
男の親友がいるなんて
少女漫画の話みたい 」
「 私みたいな男
なかなかいないんだから 」
そう言うと笑う彼女。
下を向きながら笑い返す。
涙目なのは見られないように。
またこうやって笑い合えることが
私にはもったいないくらいだった。
「 やっぱり大切な人だと思う。
あなたといると落ち着く... 」
「 そろそろあなた呼び
やめてくんない?」
ずっとあなたじゃ
ちょっと寂しくなるから。
友達なんだしね
って何度も自分に言い聞かせる。
「 お名前は?」
「 二宮和也です 」
初めて出会った時に
このやりとりをした記憶や
『 和くん 』って呼び始めた時の記憶が
映画みたいに頭に流れた。
「 何て呼んでた?」
「 かずぴょん 」
「 絶対嘘でしょ 」
「 んふふ 和也って呼んでた 」
また嘘をついた。
本当は『 和くん 』なのに。
和くんは彼氏だった過去のまま
残しておきたかっただけだ。
「 和也... 」
「 何ですか、 」
「 ... 親友だもんね 」
ちょっぴり頬を赤くする。
友達だから苗字呼びだとでも
思ってたんだろうな。
いつもみたいに赤い頬を
手で撫でたかったけど
ぎゅっと拳を握り締めた。
何が何でも
この嘘を突き通そう。
それで何もかも上手くいく。
それが償いにでもなれば。
なんてこの時は安易だった。