第4章 はやくも顕現、はやくも受難
「主殿に顕現されたと聞きました!!我が妹はこちらに!!!??」
審神者さん、そう言えば光忠と話している途中に出て行ってたな。まさか藤四郎兄弟に報告しに行っていただなんて花房ちゃん驚き過ぎてゲロ出しちゃいそう(白目)
「花房っ花房!!ずっと待っていたのですぞ!!!もう離しません!!!」
なにやら美少年に抱きつかれております。話の流れ的に恐らく彼が私の兄にあたる一期一振。このロイヤルな雰囲気はなんなんだとツッコミたいがまずはその前に彼を誰か止めてくれ、抱き締めてるって言えば聞こえはいいがこれはまさに締め付けてるが正解だ。
「一期くん、花房ちゃんが苦しがってるから」
「あっ、すみません光忠殿。…花房にようやく会えたのでつい興奮してしまいました」
一期一振の腕から解き放たれた瞬間、私はそっこう光忠の背中へギュッとしがみつき隠れる。そのとき一期一振が寂しそうに眉を下げたが私の知ったことではない。だってあまりの締め付けに絞め殺されると思ったわ!!
「はじめまして、花房藤四郎です。あなたとは兄妹にあたるらしいですが別に無理して構わなくても結構ですので」
「そんなっ!!無理をしてなど!私は花房に会えるのを今か今かと待ち望んでおったのです」
なにそれ超怖い。だって今まで一回も会ったことない人にそんなこと言われるなんて普通に戸惑うわ。
「……光忠、あれが私の兄なの?」
「……普段はかっこいいんだけどね」
「花房、光忠殿ではなく兄である私に抱きついてはいかがですか?今度は優しく抱きますので」
「……これが、普段はかっこいいの?」
「……恐らく拗らせているんだよ」
なんか、イメージと違いすぎる兄の姿に私と光忠ははやくも挫けそうです。これが兄なら他にいる沢山の弟たちはどんななのだろう。
無理矢理に光忠から引き離され再び一期一振の腕の中にしまいこまれた私は、これからの未来を思って小さく溜め息を漏らした。