第6章 弟と私と弟(仮)
「如何したんです、光忠殿?」
「それが花房ちゃんが顕現されたって聞いてから大倶利伽羅がそわそわして落ち着かないみたいなんだよね。僕はべつにこれから一緒にいられるんだから後で会えばいいじゃないって言ったんだけど」
「光忠っ、俺はべつにそわそわしてなんか」
「くっクリ坊おおおおおおおおおおおお前ってやつは本当に!!!本当にいい子だなあ!!!クリ坊おおおおおおおおおおお」
今だかつてこれ程までに大声で叫んだことなどあっただろうか。突然の光忠の裏切り発言「僕はべつに~」が思わず記憶から吹っ飛ぶほど私は猛烈に感動していた。
大倶利伽羅、そういえば伊達にいた頃は二人で仲良くしてたもんな!主に光忠の説教や小言から二人で逃げたり、鶴丸の悪戯から逃げたり、鶴丸の悪戯を阻止したり、鶴丸の悪戯を揉み消したり、鶴丸の悪戯を……って考えるとマジでろくなことしてねえな鶴丸のじいさん!!
「私の天使!!クリ坊!!」
「おいクリ坊はやめろ」
「私よりも先に顕現してたんだ。あっお友達とかちゃんとつくれた?大倶利伽羅ってば本当は優しくていい子なのによく誤解されちゃうから心配だよ」
「…俺は馴れ合いはしない」
「私と馴れ合いしてくれないの……わ、私がこんな名前だから……だから大倶利伽羅まで……私がこんな経歴だから……」
「っ、わかったからやめろ。お前は特別に許す」
ヒャッホー!これだからクリ坊はたまんねえな!!普段ツンツンなのに根本はいい子ちゃんなんだよ。これぞ私の可愛い可愛い大倶利伽羅だ。
「花房姉と大倶利伽羅の旦那は随分と仲が良いんだな」
「そりゃもう大倶利伽羅は私の弟みたいなもんだから」
「誰がお前の弟だ」
「ちょ、ひどい!仲良くしようよクリ坊」
「クリ坊やめろ」
久しぶり再会でテンションが上がっていた私は気づかなかった。
「ふーん、弟みたいな、ね」
正式な私の弟にあたる少年たちがほのかに黒いオーラを纏っていた、なんて。