第4章 はやくも顕現、はやくも受難
「私の名前は花房藤四郎。無名から成り上がった主と共に戦場を駆け抜けて参りましたので、女と言えども戦働きには多少自信がありますよ」
ついにきた。ついきにきてしまった!
私の目の前でぽかんと口を開けている女の審神者に一礼すると、その後ろで様子をうかがっていたらしい燭台切光忠が驚いたようにこちらへ駆けてきた。
「光忠!!」
「花房!!」
感動の再会である。だが生憎だが私と光忠はここでしんみりするような仲ではない。さすがは燭台切光忠そのでかい尻は変わらんな、と私が破廉恥なことを考えていたのを感じ取ったのか出会い頭にエルボーくらわせやがりましたよこいつ。
「ちょっ、花房藤四郎って女の子!?」
「何を今更。だから妹分だってそう僕が言ったじゃないか」
「乱のパターンもあったのに話だけで信じられるか!!でも女の子かあああ!!!やったあああああ!!!」
なにやら喜んでいる審神者さんに改めて頭を下げておく。いやいや刀剣女士なるものになったがやると決めたらば最後まで。あの女々しいもと主よりかは今の審神者さんのがやりやすそう。
「これからよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
実は女の子が来てくれるのをずっと待ってたんだ、と心なしか見えないお花を飛ばすように浮かれる主は女の私から見ても可愛らしい。
「それにね、花房ちゃん以外の藤四郎兄弟はもうみんな集まってたから、顕現情報が政府から届いてから余計に彼らの視線が痛いのなんの!鍛刀する度にやれ花房を出せやら、花房姉をはやくやらせっつかれてさー!」
審神者サンハ地雷ヲ投下シマシタ。
「っ!!!光忠、ちょっとこっち!!」
「はいはい」
「審神者さんは少しそこで待っててください!!」
「はっはい!」
私は駆け寄ってきた光忠の襟首をがっと掴むと小声で彼に詰め寄る。
「どっどういうことだってばよ光忠!!!」
まさかの!藤四郎兄弟!全揃い!!!
だってみんな父さん的な存在のあの男の人にちゃんとした人へ献上されてるのに、私は当時武功もなにもない無名のクソ餓鬼にこれあげるみたいな軽い感じでぽいって譲り渡されたんだよ!?いくらその後で主が出世したからって劣等感ハンパないよね!!
光忠に慰められながら鬱っぽくなっていると、事件は起きた。