第3章 そして私は脱ニートに
私の一言でその場は一瞬にして凍りついた。
恐らく他の付喪神たちは兄弟の話題を出されてここまで拒否するやつはいなかったのだろう。目が点とはまさにこのこと。
「なっ何故ですか!?ご兄弟がいらっしゃるんですよ!?」
「そこが嫌なんですよ!!!」
一度も会ったことない兄弟と顔を合わせなきゃいけないなんてめちゃくちゃ気まずいじゃないですか!!
こちとら長い間、兄弟とかないものとして扱ってきたんですよ!!「光忠くんは今日から私の兄だからね」「こんな妹いらないよって言いたいところだけど、仕方ないかな」「光忠!」「いいよ花房、契ろう」みたいなその場のノリで兄弟になった奴ならまだしも本当の兄弟だよ!?
「あなた様の兄弟刀の付喪神様はあなた様に会えるのを待ち望んでおられるのに」
「なにそれよけいに行きにくいわ!!もう無理!絶対やだもん!引きこもるもん!」
「我儘言わないでください!貴方の前の持ち主の過去が変えられてしまうかもしれないんですよ!?」
「あんな女々しい理由で名前付けやがった前の主の過去なんてむしろ変われ!そして私をかっこいい理由で名付けろ!!」
「またそんなくだらないこと言って!!あんたは歴史修正主義者にでもなるつもりですか!?」
「うわーん黒ずくめたちが虐めるよう!!ドラえもーーーん」
「ドラえもんは過去放送されたアニメの中にしかいません!お覚悟決めてどうか我らに手を貸してくださいませ!」
「こいつお願いしに来てるのにめっちゃ強気だよーーー!こわいよーーー!」
付喪神なのに、神の端くれとなのに、胸ぐら掴まれてグラグラ揺らされている私を強気黒ずくめから他の黒ずくめたちがあわあわしながら助け出してくれた。
それでもまだ強気黒ずくめの奴は熱が冷めていないのかギラギラした瞳で私をある意味で熱く見つめた。
「こうなったら最終手段です」
あなたの弱点は燭台切光忠様のご説教!!ゆえにまたくだらない理由で駄々を捏ねられましたらここに燭台切光忠様を御招待しますからね!!!
そう言われた私はただ頷くしかできなかった。べっべつに泣いてなんかな゙い゙や゙い゙。