第3章 そして私は脱ニートに
私は刀として生き刀としての役目を終えて深い深い眠りに落ちたはずだった。はずだったのだが。黒ずくめの男たちに無理矢理起こされたのだ。これはいったいどういう状況で?
「黒ずくめ…黒の組織……ああ、今度はコナンくんか」
「いや、普通に違います」
つっこまれた!なんか普通に真顔でつっこまれた!!やだ恥ずかしいわ!なんて茶番をやりつつ起きたばかりの気だるい身体を起こして黒ずくめさんたちに向き直る。
「黒ずくめさんたち人間でしょ。どうして私と会話できてるの?」
そう、彼らは人間だ。刀として長い間生きてはきたが付喪神である私と会話できた人間などいなかった。まあ本当にたまになら薄ら見える人なら何人かいたが。
「未来はあなた方の研究…いや失礼、理解が進んできておりますので。こうしてあなた様と向き合ってお話ができるのでございます」
「なるほどね(こいつ今一瞬研究とか言いやがったぞ)」
大人になった私は彼の失態には目をつぶってあげようではないか。でも研究とか怖いからマジやめてね!
「で、本題は?まさかただのお喋りをしに来たわけではないですよね?」
「お察しでしたか。実は近年、歴史修正主義者なるものが出てきておりましてそのことについて花房藤四郎様に御協力を得たいと思い参上いたしました」
「歴史修正主義者?」
黒ずくめの彼が言うには彼らは政府に属する者たちでどうやら過去を変えようとしている歴史修正主義者たちと戦っているらしい。なんか仮面ライダーとかにありそうな設定だなあと思いつつ聞いてはいるものの、要は私に彼らと戦ってほしいらしい。どうやら付喪神は過去に飛んでそこで行動するにはもってこいらしいのだ。人間では身体にあまり良くないのだと。
「本丸と呼ばれるあなた様をお迎えするそこにはあなた様のご兄弟たちもいらっしゃいますよ」
「はあ、兄弟ね」
ならばもう答えは決まった。
「ぜーったいに本丸なんてところには行きません!!」