• テキストサイズ

生まれ変わったら藤四郎兄弟に仲間入りしてた

第2章 プロローグ




刀として生まれて早いことだがもう数年が経った。ただの刀として身動きさえとれなかった私が付喪神としてある程度色々なことができるようになったときそれを喜んでくれたのは私の持ち主、ではなく持ち主の上司の刀たちであった。
どうやら彼らに聞いたところ人間は付喪神が見えないらしく、付喪神である私たちも人間たちとの意思疎通が行えないらしい。というのも付喪神になったと言えど私は本体である刀からあまり遠くへは離れられないし物や人にも触ることができないのだ。

「一応僕たちは神様みたいな立場でもあるんだよ」
「マジでか」

刀の次は神様の端くれとは何たる驚き。まあ目が覚めたら刀に生まれてた過去があるのでそんな血相変えて驚く程ではないかな。人間死んだら仏様になるとかよく言うもんね。まあ私は刀になりましたが。


「それより君にもようやく名前がついたんだってね」
「おっよくぞ聞いてくれました光忠さん!」


なんと私はようやくこの刀としての名前がついたのです!やっほーどんどんパフパフ!しかもそれが前世のときと同じ名前でなんだか運命というもの感じちゃいました!

それが例えどんな理由でつけられたとしてもね!!!


「確か名前の由来は…うん。いや、なんていうかさ噂は本当なのかなって思って……」

「…持ち主が惚れ込んだ遊女からあっさりばっさりフラれて慰めとして自分の刀にその遊女の名前をつけただなんて、そんな誇りもクソもない理由でつけられたなんてとても周りには言えませんよ!!!ちくしょうが!!!」

「いや言ってるよ!?ばっちり自分で言ってるよ!?」


そうなのだ。よりにもよって私は持ち主をふった遊女の名なのだ。もうこんなの自分の主は女にフラれて自分の刀にその女の名を付ける程の女々しい男と自己紹介してるようなものじゃないですか!!

「僕の名前もあれだけど君の名前の由来もけっこうあれだね」
「やめて光忠さんあれとかやめて!名前に罪はないんです!!罪があるのは女々しい私の持ち主だけなんです!!」


こんな名前の付け方されたなんて顔も合わせたことがない他の藤四郎兄弟に知られたら申し訳なさすぎて涙でるわ!

「せめてこの情けない名前の由来が後世に残されていませんように」

この願いが叶わなかったということを私は遥未来に本丸という場所で知ることになるのだが、それは今はまだ知らないお話である。
/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp