第10章 雪合戦ーサソリ、飛段、デイダラ、小南ー
「話聞いてりゃ完璧に巻き添え食うとこだっただけじゃないですか。何が土下座だ、このゆるキャラ崩れ。何だそのビジュアルは?落武者か?平家ワールドのマスコットキャラか?落武シャンか?公募で決まった名前だな?むしろ謝れ。落武シャン。アンタが謝るとこだ、ここは」
「ふざけんな。何が落武シャンだ、このバカ。下らねえ事喚きやがって、テメエに頭ァ下げるくらいなら今この場で綾波に喰われたらァ」
「そりゃ結構。さっさと喰われちゃって下さいよ。清々しま・・・・あだッ」
「いだッ!誰だ、ごらッ!」
同時に雪玉をくらって、二人はさっと周りを見た。
「いつまでもくっちゃべってっと雪が溶けちまうぞ、うん?」
「雪合戦は当てて何ぼでショ?ガンガンいっちゃうよォ!?」
雪まみれのデイダラと藻裾が、ぽんぽんと雪玉を弄びながらにやにやしている。
サソリと牡蠣殻が言い合っている間、二人で散々やり合った挙げ句サシの勝負に飽きてしまったらしい。
「やりましょうよ。陣取りで」
藻裾がにやぁりと笑って懐に潜らせていた左手を出して指を二本立てる。
「敗け方は一日隷属だ。勝ち方は終日マスターになれちゃう。要は王様ゲームだな。どうよ」
「よォし、俺も入れろィ。おらサソリィー、テメエよくもやってくれたな、あァ?ぶっ潰してやらァ」
真っ白な飛段が藻裾の肩に手をかけてヌワッと現れた。
サソリと牡蠣殻が思わず噴く。
「ぶっ潰れたのァテメエだろうが、飛段。元気玉の味はどうだったよ?元気出たか?あ?」
「風邪引きますよ。死なない体で治らない風邪をひきでもしたら、文字通りの終わりのない生き地獄・・・」
「あん?治んねえ風邪なんてあんの?」
きょとんとした飛段にサソリがニヤリとする。
「風邪を引かないバカがひく風邪はバカよりバカだから治んねんだよ、わかるか?」
「んー、テメエがムカつくって事はよくわかるなァ。まぁ安心しなァ?俺が風邪引いたら漏れなくテメエにも伝染してやっからよ。オメエも十分いーい風邪引くだけのモン持ってっからな。俺が保証してやらァ」
「あの、治らない風邪というのは飽くまで比喩で肺炎や気管支炎など次々とドミノ倒しのように体を損なってはいけないと・・・冗談ごとでなく風邪は万病のもとですからね」
「いーから、わーかったから、牡蠣殻は黙ってろ」