第10章 雪合戦ーサソリ、飛段、デイダラ、小南ー
「そんな防寒具がありますか、馬鹿馬鹿しい」
「・・・・矢っ張りぶっ殺す。雪合戦で死ね。語り草になれ。シンジの神話並みにヘタレた武勇伝を振り撒きやがれ」
「・・・・だからそれを脱いでから言いなさいよ、そういう事は・・・。あんまりシンジをくさしてると大好きな綾波に喰われちまいますよ?」
「綾波に喰われるんなら構わねえよ。いや、むしろ喰って下さい。だがその前にテメエを殺る。ふわっふわの雪玉で息の根止めてやらァ」
「・・・・・まあどうしてもやりたいならやったらいいですよ。ふわっふわの雪玉で。でも錆びても知りませんからね、自慢の着ぐるみが」
「錆びねんだよ、これは」
「だったら何だってしょっちゅう油を注してんです?」
「錆びっからに決まってっだろ、バカ」
「・・・・バカはアンタだ。崖っぷちで目隠ししてアンドゥトロワ並みのバカだ」
「ぶっ殺す」
「うるさい。煩わしい。もう中身ごと東京タワーで展示されて日がな一日子供に悪戯されてろ」
「おい。せめてマダム・タッソーの館にしろ、バカヤロウ」
フと影が差して周りが暗くなり、サソリと牡蠣殻は揃って振り返った。
「ガアァッハッハッハアァーッ!俺がまとめてぶっ殺してやらあァ!!!ヒャッハーッ!やっべえェェェェ、めっちゃくちゃ楽すィーじゃねェかああァァあァァ!!!!!ああァァあァ?ゴラアァァアァァ!!!!!!」
バカデカイ雪玉を頭上に掲げた飛段が、完璧にイッテしまった目で二人を見下ろして気持ち良さそうに吠えている。
「・・・・血管切れンぞ、飛段。いよいよ死ぬ気になったかよ?そのクリリンが頑張って捻り出した元気玉みてぇのごと向こう行ってひっそり死ね?死んだら呼びに来いや。笑いに行ってやらァ」
「死ぬのはテメエだあァァ!!!!!いつもいつも死ねだのバカだの言いやがって、死なねえバカの底力を思い知りやがれええェェェ!!!ザマァみやがれ、サソリイィィィいぶばっ」
ヒルコの長い尾に膝の後ろをトンと突かれてカクンとバランスを崩した飛段は、自らの元気玉で潰れた。
「・・・随分恨まれてるみたいですね、サソリさん」
「うるせえ。いんだよ。テメエで死なねえバカとか言ってるバカに構ってられっか。それよりテメエ、助けてやったぞ?サソリ様ありがとうございますっつって土下座しろや、ああ?」