第45章 初仕事 ー飛段、角都ー
「はぁ?分裂なんかしねえよ。蝶ネクタイのガキも言ってんだろぉ?真実はいつもひとつ!ジャシン様もいつもひとりィ!」
「…ああ、そう。それは何よりだ…」
「で?」
「は?」
「はじゃねえよ。今日は何の仕事をさせよってんだ」
「何で急にやる気になってるんだ。気味の悪い…」
「いやぁ、やっぱおめぇも立派な年寄りだしよぉ。労ってやんなきゃねぇよなぁって思ってよぉ。俺って優しいよなぁ?げはは」
「そうか。そういうことなら遠慮なく働いて貰おう」
「おう。で?何すんの?」
「豪雪地帯で屋根の雪下ろし」
「おろ。そりゃまたタイムリーな」
「そうだろう。困っている人が大勢いる。行って男を上げて来い」
「俺の男振りはとっくにMAXだぜ?これ以上上がりようがねぇよ」
「ああ、そうか。それは良かったな。なら更に男振りの天井をぶち破る勢いで働いて来るがいい。一軒につき1万両、ノルマは50万両だ」
「はん?てこたァ50軒?おめえと割ったら25軒か。チョロいな」
「いや。500軒だ」
「…ちょっと待て。流石の俺でもわかるぞ。角都、計算が違ってるぜ。全然違ってるぜ」
「地域連帯で利用し易くする為に1軒1万両の雪下ろしに9軒の無料雪下ろしサービスがついている」
「…ちょっと待て。ソレあれだよね?1軒千両でノルマ50万両て…えー…、あー…、ほらアレだよ…」
「500軒の雪下ろし」
「そうそうソレだぁ…て、何だその流血大サービス?出血多量でショック状態になるぞ?」
「出血はしない。だが凍結には気を付けろ。幾ら死なんとはいえ春まで凍りっ放しはきついだろう。お前がいいなら俺は一向に構わないが、凍った先で邪魔になって迷惑をかけては忍びない…」
「いやいやいやいや、いよいよちょっと待て。待て。待ってくれ。にしても250軒じゃねえの?500を2で割りゃ250だろが」
「何で2で割るんだ」
「ふたりで分担すりゃ2で割ることに…なる?ならない?」
「ならない」
「いや!違う!なる!…?うん?うん!なる…よな?なる筈だ!なるんだよ!ならなくてもならせてやらぁ!」
「何を熱くなっているんだ。余計な熱量は現地で使え。省エネは人類永代の命題だぞ。使いどころを間違えるな」
「250…」
「2で割らなければ500だ」
「俺たちツーマンセルじゃなかったか?」