第45章 初仕事 ー飛段、角都ー
「頭や首がねえヤツが女にモテるわけねぇだろ!?それ以前の問題山積みじゃねえか!何が粋だっつうの!俺の頭や首はお飾りじゃねえぞ!」
「本当にそうか?実用性もない上にお飾りにしてはお粗末、俺から見れば省いていいものでしかないがな。何ならどっちも不要だし、特に頭部はその傾向が甚だしい…」
「華々しくねえよ!」
「…確かに華々しくはないな。華々しい頭部というより馬鹿馬鹿しい頭部だ。軽々しい頭部でもいいだろう」
「はぁ?華々しいって言ったじゃねえかよ?」
「華々しいではない。甚だしいと言ったのだ」
「ハナハダシイ?」
「甚だしい」
「花裸足ィ?」
「花に足があったか?」
「あるっけ?」
「花は履物を履くか?」
「履くっけ?」
「…お前…流石にそれはないだろう。悲しくなって来たぞ」
「は?…えー…。俺何か悪ィこと言っちゃったかぁ?泣くなよ…ぁだ…ッ」
「誰がこんな下らないやり取りで泣くものか。ふざけるな」
「叩くなよ!おめぇが悲しいってぇから泣くなっつって気ィ遣っただけじゃねえか!」
「お前の気遣いは大概が要らない気遣いだ。要らない気遣いをするくらいなら黙っていろ」
「年寄りに気ィ遣って何が悪ィんだ。お年寄りは大事にしろって教わってんだよ、俺ァよぉ」
「ほう…。感心なことだな。意外に良い親に育てられたのだな、お前」
「あ?親?」
「親にそう教わったんだろう?」
「ちげーよ。何で親からンなこと教わんだよ?ジャシン様の教えだっつの」
「…は?何ソレ意外…」
「何が?」
「いや、文字通り邪なお前のジャシンがそんなまともなことを言うとか…マジで?」
「迷子には優しくしなきゃねえし、ドアを閉めるときは後ろに人がいないか気を付けなきゃねえし」
「…えぇ?そうなんだ…?」
「信号がパカパカいったら横断歩道は渡っちゃ駄目なんだぜ」
「はぁ…」
「年寄りには優しくな」
「大好きなジャシンの教えと言うからには、お前なりにそれを実践してるんだろうな。残念なことにサッパリ伝わって来ないが」
「人はいっぱい殺る」
「それな。それだけはしっかり実践してるからわかる」
「いやぁ。俺なんかまだまだよぉ。げははッ」
「…ジャシンは分裂病なのか?」