第41章 暑くて投げ遣り
「涼みに行きましょうかと言ってるんですよ」
「出かけるんですか?この暑いのに?」
「暑くなきゃ涼もうなんて言いませんよ」
「そりゃそうでしょうけれども」
「ついでに涼しい着物を誂えたらいいですよ」
「単衣の生足?」
「いちいちイヤらしい言い方をしていると品性を疑われますよ。そういう格好を浴衣と言いませんかね、世間様では」
「ああ成る程。そうですね、浴衣ですね」
「涼しくなりますよ」
「別にわざわざ浴衣を誂えずとも半股引なら持ってますよ。五分袖の上着も」
「なら何で着替えないんです」
「干柿さんだって外套さえ脱げば下は随分涼しい格好でしょう?何故脱がないんです?」
「……」
「脱げばいいじゃないですか。袖無しのタンクトップなんでしょう、その外套の下は」
「……」
「…暁の契約条項か何かにあるんですか?色男以外の肌の露出禁止みたいなのが?」
「どういう意味です」
「だってイタチさんとか飛段さんとかは外套を開けて肌を見せたりしてるじゃないですか?デイダラさんもしてるっけかな?」
「さあ」
「でも鬼鮫さんや角都さんはみっちり着込んでますよね」
「…だから?」
「若くて見栄良い方たちはは貴方や角都さんとは違う契約書に署名なさってるんじゃないかな、と…」
「ほう。面白いこと言いますね」
「面白いですか?それは良かった。私ゃてっきり怒り出してまた痛い目にあわされるかとぁあだだだだだだだだッ!!!!爪!頭に爪!地肌に爪立てて頭を握り締めないで下さ…止めて下さい!ハゲるハゲる!!局部的にハゲる!」
「ハゲて不都合でも?涼しくなりますよ?」
「そんな涼しさは頼んで要りませ……づぁぁあー!!!イダイイダイイダイ!!こんだ首か!皮引っ張るな!私は猫じゃありません!!」
「猫ならまだ可愛げがあるんですがね。口がきけない分ずっとマシです」
「貝になります!黙ります!痛いってば!止めろってば!いや、ホントすいません!止めて下さい!痣になったらまた薬ですよ!?あれ、作るの大変なんですからね!?この暑いのに面倒臭いことさせないで下さい!」
「はあ。うるさいですねえ…。暑苦しい」
「…くッ、こ、この……」
「…何ですか?」
「…あー、えーと……その…。……………び、美男子さんめ…?」
「……………」
「……………」