第40章 バレンタインという日 ーサスケ、水月、重吾ー
「落ち着けサスケ、そういう話じゃないぞ!」
「じゃあどういう話だ!?お前主演でヒッチコックの"鳥"を鳥嫌いになるまでエンドレス上映するぞコラ!写輪眼の見せるリアリティーなんか半端ないぞ!?ザマみろ、苦しめ!名作に死せ!」
「何を!?なら俺は毎晩お前の枕元で安寿と厨子王のサスケイタチバージョンを囁いてやる!絶対熟睡させないからな!何が名作に死せだ!お前こそ名作に不眠しろ、この中二病め!」
「ちゅ…ッ、中二病!?人がそれとなく気にしてることをストレートにぶちまけやがったな!?ふざけんな!安寿と厨子王の俺イタチバージョンごときで熟睡出来ない俺じゃないぞ!毎晩グッスリ寝てお前よかデカくなってやる!」
「今更そんなに伸びるかバカ。成長期に夜も寝ないで憎しみ育成してたくせに!」
「お前に俺の成長期の何がわかる!?」
「少なくとも終わってるだろうなってことはわかる。いくら寝てももう背は伸びない!よく寝る人になるだけだ!」
「…まあいい。考えてみたらこの身長で十分だ。お前みたいにバカでかくなる必要なんかない」
「あ。イラッと来た。メタモルフォーゼの兆しだ」
「おう、来るなら来い。ヒッチコックの餌食にしてやる」
「あっはははッ、何の話だっつの。ホント、そういうところだぞ、ふたりとも?…プッ…ははははは!」
「水は黙ってろ!畑に撒くぞ!」
「大蛇丸の浴槽に張って丁度良く沸かされたいのか!」
「僕はそういう水じゃない!」
「じゃどういう水なんだ?海水か?塩田作るぞ。塩で水月ブランドを起ち上げてやる。ブランド名は再不斬の寝汗でどうだ?」
「止めろよ重吾。それ洒落になってないし絶対企画倒れして会社を傾けるヤツ」
「なら白の垂らす涙はどうだ」
「……ひどいネーミングだけど一部に飛ぶように売れそうだねえ…。僕は買わないけど」
「買うも買わないも売れ残ったら水月、お前が全部責任もって消化するんだぞ。不良在庫の再不斬の寝汗か白の垂らす涙がなくなるまで塩味以外厳禁だからな?」
「くっだらな…」
「俺はもう生涯水月からお握りは貰わないことにする。今までも貰ったことなんかないけれどもな」