第40章 バレンタインという日 ーサスケ、水月、重吾ー
「…そのネタじゃないよ。何ソレ、冗談?…痛ましいなぁ…。せめて回ってないネタにしろよ…」
「回る寿司は好きだ。見ているだけで楽しい」
「ああ、あれ、楽しんでたの?回転寿司行くといっつも瞳孔の開いた目でレーンを見てるから、いつ写輪眼繰り出すかってその度ハラハラしてたんだけど?」
「好きだ」
「あ、そう。じゃ、サスケに内緒でカッパに行くのはもう止めるよ。今度からちゃんと誘うから」
「…俺に内緒でカッパに行ってたのか、お前たちは」
サスケがクッと唇を噛んで窓枠に手をついた。
「……憎しみが増す…」
「いや。いやいやいやいやいやいやいや。悪かった。嘘。冗談。違うから。大丈夫だから。もうしないから落ち着けよ。まず一回目を閉じてみようか…ってその目でこっち見んな!一応君の仲間だぞ、僕は!」
「そんな仲間は要らない」
「仲間よか回転寿司かよ!やっすいな、おい!」
「こっちの台詞だ裏切り者め!」
「落ち着けふたりとも。大きな声を出して興奮するな。鳥が怖がる……て、その目でこっちを見るんじゃない!!バカサスケ!!」
仲裁に入った重吾の一際大きな声で、窓の表で羽を脹らませて静かに日向ぼっこしていた鳥の群れが、ワッと飛び立った。
「…重吾。そういうところだぞ?」
水月に言われて今度は重吾が唇を噛む。
「うん。こういうところだな。悪かった」
「そうだ。お前らふたりとも悪いぞ」
「黙れよ、サスケ。このオタンチン」
「オタンチン?何だかわからないが凄く気分の悪いフレーズだな?俺を馬鹿にしてるのか」
「馬鹿になんてしてないだろ。オタンチンって言ってるだけだよ、オタンチン」
「オタンチンって言うな!言われる程腹が立つ!」
「わかったよ、アンポンタン」
「アンポンタン!?今度は何だ!?また腹の立つフレーズだな!?お前さっきから何語で俺を馬鹿にしてるんだ!?」
「何語?フ。これはなぁ、クイーンイングリッシュだよ、アーユーオーライ?」
「止めろ水月。流石に聞いてて恥ずかしい。アーユーオーライなんてオール片仮名のクイーンイングリッシュがあるか。悔い改めろ」
「何が悔い改めろだ、スカポンタン」
「スカポンタン!?あ、ホントだ、何か凄く腹が立つ!わかったぞサスケ、お前の気持ちが!」
「俺の気持ちなど誰にもわからない!!わかって貰おうとも思わない!!」