第39章 雪の降り積む ー路地裏イチャイチャin干柿鬼鮫&牡蠣殻磯辺ー
「asicsaとかchannelとかでなく?」
「…何を言ってるんだかさっぱりわかりませんが、違うと思いますよ」
「そうですか。それは失礼しました。…しかしそうなると、干柿さんが何を言いたいんだかすっかり見失ってしまいますね」
「すっかり見失う程難しいこと言ってますかね…。宝石になれないなら大人しくせっせと硝子玉を磨きなさいと言っているんですよ。ただでさえ粗末な硝子玉なんですからね。せめて必死で磨いたらどうだと言ってるんですよ。流石にわかりましたか?」
「つまり綺麗なビー玉たれと?」
「蛙の子は蛙ですからね。諦めるところは諦めてマシな蛙になりなさい」
「マシな蛙ってのは蛙に失礼ですよ。ここはせめて瑠璃も針も磨けば光ると言って頂きたいところです」
「磨いて光るかどうかは保証の限りじゃありませんからね。ただ磨かないよりは磨いた方がまだしも救いがあるというだけで」
「………いっきにやる気がなくなりますねぇ………」
「やる気があるあなたなんか気持ち悪いですからね。それくらいで丁度いい」
「…何をどうしたいんですか、貴方は…。これちょっと離れていいですかね?明らかにわざわざ抱き合って交わすような薄甘い話じゃありませんよ。むしろ何時殴り合いになるかわからないくらいのもんです」
「そうですか」
「そうですよ」
「…………」
「……あの、干柿さん……」
「なんです?」
「話聞いてました?」
「聞いてましたよ」
「……そうですか」
「そうですよ。聞いてあげただけでも有り難く思いなさい。まさか安易に要求が通るなんて思ってませんよね?もっと言えば殴り"合い"が出来るとでも?この私相手に?」
「先に殴り付けてしまえば殴り合いになるでしょう。やり返された一発で前後不覚になろうとも相互にやり合えば殴り合いになります」
「そこまでして殴り合いたい?見上げたものです。根性なしのあなたにしてはなかなか腹の座った発言ですね。滅多に見せないその根性に報いて、必殺の一撃をお見舞いしましょう。痛みを感じる間もなく前後も上下もてんで不覚にして差し上げますよ。嬉しいですか?」
「……いよいよ貴方が何をどうしたいのかさっぱり理解不能の状態に陥って参りましたよ?ハ虫類か何かと話してる気になって来ました」
「そうですか。やっと私の気持ちがわかりましたか」