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閑話休題?ーNARUTOー

第39章 雪の降り積む ー路地裏イチャイチャin干柿鬼鮫&牡蠣殻磯辺ー



「空耳ですよ。何ももげてないし抜けてません。煩い人ですねぇ」

路地裏で良かった。
人目がないからある程度好きに出来るが、行きすぎた行為に走りかければ人の気配が歯止めになる。
そう思って、鬼鮫は自嘲した。

馬鹿な。何を考えているんだか。下らない。

雪の降り積む町の様が額の中の絵のように見える。牡蠣殻の頭越しに見える何気ない市井の景色。
もしかしたら、牡蠣殻が帰りたい景色。帰る里のない者ほど郷愁は強烈なのかも知れない。
気付かないだけで、自分もまた。

けれどこの額の中に鬼鮫や牡蠣殻が収まることはないように思う。路地裏が居場所という人間もいる。好むと好まざるに関わらず。

「…たまに顔を合わせたんです。さっさと失せちゃ味気ないでしょう」

煙草と松明草が匂う頭に口をつけて言ったら、しんしんと降る雪のせいか、思ったより静かな声になった。

「わざわざ顔を見に来て差し上げたんですからね。相応に歓待して貰いたいものですよ」

「歓待しようにも路地裏に追い詰められちゃどうにもなりませんねぇ…」

静かな声に誘われたように牡蠣殻の体から強張りが抜け、胸に預けられた頭の重みが心持ち増した。
小さな手が背中に回って、暁の外套を握り締める。その仕種が温かいと思った。求められているとわかる、そのことが、灰中の熾のような熱を密やかに保つ。

「会えて嬉しいです」

胸に響くくぐもった声。

「そうですか」

頭を掻き抱くと、鬼鮫はにやりと笑った。

「上出来ですよ、牡蠣殻さん」

「へえ?私などに会えて嬉しいと言われて満足なさるとは、意外に安上がりでいらっしゃる…」

「それはつまりあなた自身が安いという話ですか?」

「しまった」

「しまったじゃありません。自分を安売りするのは感心しませんね。実際どうしようもなく安いにしても、少しは高く見せる見栄くらい張りなさい」

「失敬千万なご忠告痛み入りますが、全く以て余計なお世話です。何なんですか、少しは高く見せる見栄ってのは」

「安いものは高くなりませんからね。せめて張ったりを利かせなさいと言ってるんです」

「あはははは、成る程。私にajidesやらNKIEになれってんですね?…て、誰がなるかぁ!!悪質なコピー商品は駄目!」

「…何でそういう方向に頭が行くんです。有るものを最大限よく見せなさいという話をしてるんですよ、私は」

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