第39章 雪の降り積む ー路地裏イチャイチャin干柿鬼鮫&牡蠣殻磯辺ー
「クリスマスに年末年始と宿もいっぱいでしょうがね」
「クリスマスに山の温泉宿がいっぱいっていいですねぇ。羨ましい過ごし方です。さぞやに気持ちいい良いクリスマスだったことでしょう」
「去年のクリスマスはあなたが競馬で稼いだ泡銭でパーティーをしようとして失敗しましたっけねぇ…」
「呑んで食べて騒いだという点においては満更失敗していないと思うんですけどね」
「クリスマスの雰囲気ではありませんでしたがね」
「…細かいこと言わないで下さいよ、いいじゃないですか、楽しければ」
「大体クリスマスはクリスチャンの行事でしょう。関わりないものが便乗して楽しもうとするから間が抜けるんですよ」
「じゃ改宗して教会にでも行きますか?」
「また極端な。何でクリスマスの為だけに改宗までしなきゃならないんです?そもそも私は宗教に興味なんかありませんよ」
「でしょうね。ゾロアスター強とかヒンドゥー教とか如何にも捻りのきいた信仰を持ってそうに見えるのに、干柿さんは見掛けに依らずニュートラルなお人柄をしてらっしゃいますからね」
「何です、そのニュートラルな人柄ってのは」
「よく言えば片寄りなく中立的、悪く言えば日和見主義ってとこですかね?」
「あなたそういう目で私を見てたんですか」
「干柿さんは食指の動かないことに関しては非常に冷静でいらっしゃいますから」
「言い換えれば興味ないことはどうでもいいと、そう言いたいんですね?」
「だからこそ片寄りなくものを見られるのでしょう?得難い質ですよ、それは。しかも干柿さんは興味ないことが少なくないですからね。そうした点を鑑みれば非常にニュートラルなお人柄をしてらっしゃると言えましょう」
「そうですか。ではあなたも大層ニュートラルな人柄をしていることになりますね」
「とんでもない。私、干柿さんのように視野も心も広くはありません」
「どうも私の思うニュートラルとあなたの思うニュートラルには齟齬があるようだ」
「解消しますか?元気に朝まで語って絡んであげますよ?」
「詰まらないこと言いますね。どうせ絡むなら服を脱ぎなさい」
「バカな。何言ってるんですか。今身に付けたものをひとつでも取ろうものならマンドラゴラの叫びなんか蟻の屁みたいなもんじゃないかってくらいの凄い声で絶叫しますよ、私は」