第35章 海へ来たらば ー暁with黒の教団ー
「自分が若くないと周りの若さが鼻につくものだ…」
「じゃあ角都は周り中誰も彼も鼻について大変ね。お気の毒様」
小南は青筋を立てた角都ににっこり笑いかけ、空き缶をベコンと握り潰して暗い沖を眺めた。
「…で?今度は誰が迎えに行くの?」
鬼鮫を除く全員がさっと牡蠣殻を指差した。他人事のように沖を見ていた牡蠣殻は、突然の全指名を受けて物凄く厭な顔をする。
「厭ですよ。暗い海は厭です。思う以上に色々出るんですよ、夜は」
「だってオメェが行かなきゃ誰が行くんだよ、うん?」
当たり前のように言ったデイダラを牡蠣殻は愛想よく見返した。
「打ち上げた人が回収したらいいんじゃないですか?」
「俺が打ち上げたんじゃねぇよ。アイツが勝手に打ち上がったんじゃねぇか。んー、まぁいいんじゃねぇの?あんな芸術的な花火と散ったんだからよ、リーダーも本望だろ、うん」
「あんまな間抜けな最期じゃ俺なら死んでも死にきれねぇが、まあ俺の話じゃねえしな。大体が自業自得だ。放っときゃいい。バ牡蠣殻もリーダーなんかどうでもいいって言ってるしよ」
嫌味なサソリに牡蠣殻は口角を上げた。上がったのは口角だけで、他のパーツは何処も笑っていない。
「牡蠣殻がどうでもいいってんなら仕方ねぇな。いんだいんだ。どうでもいいんだ。帰って呑み直しだ呑み直し」
「仮にもリーダーだからな。今度こそ自力で帰って来るだろう。大丈夫だ。面倒臭い」
飛段とイタチが酷い。
「…ビール代を貰っていないな…。牡蠣殻、行って来い」
「長老、牡蠣殻さんは今日随分頑張って失せてましたよ。無理させたら海の藻屑がふたつになっちまいますって」
「ではビール代は誰が払うんだ」
「デイダラ」
「そうか。ならばよし」
角都と藻裾も酷い。ーデイダラに。
「ちょっと待て。一口も呑んでねぇもんに一銭だって払わねえぞ、俺は。ふざけんな汐田。オメェは何かっちゃ俺の財布を痛め付けて来やがるが俺を破産させる気か、うん?」
目を三角にして怒るデイダラを藻裾が笑い飛ばした。
「だははははッ、ハナから破産状態のくせに何言ってやがんだ、バーカ」
「わかってんなら追い討ちかけんなっつってんだよ!」
「幾らリーダーでもビール代くらいの遺産はあるでしょう。心配ないですよ。行きましょう」
鬼鮫も酷い。