第35章 海へ来たらば ー暁with黒の教団ー
「いや…デイダラさんがどういう人でも構やしませんがね。私はあなた程デイダラさんに期待もしてないし、どのみちそんな笑わせて貰わなくていいのです。普通に花火さえ見せてくれれば…」
「フツーにスゲー花火ィ上げてやるっつってんだァ!!聞こえてんぞ牡蠣殻ァ!!見てろよ汐田ァ!!!」
デイダラはすっかりいきり立ってしまっている。ペインにどんどん煽られてしまったのだろう。
「だから止めろって!リーバーと南ちゃんの邪魔しちゃ駄目だって!」
一生懸命焚き付けて来るペインにデイダラがカッカした目を向ける。
「さっきから陽キャだのリーバーだの南だの何言ってんだ、オメェは!邪魔だからあっち行ってろ!うん!?」
「…南?」
ふたりのやり取りに牡蠣殻が首を傾げる。
「反対側のビーチに陽キャが集っていたろう。その中のふたりだ」
ビールを呑みながらイタチが牡蠣殻を見下ろした。
「リーバーと南。知り合いか?」
「リーバーさんとやらは存じ上げませんが南さんは…」
「教団とか科学班とか聞こえたが覚えがあるか」
「…南さんだ…。一緒に呑んだことがあります」
牡蠣殻はぎょっとしたようにイタチを見上げた。
「まさかあなたたちは南さんを出歯亀してたんですか」
「そうだ」
「うーわわわわ!は…ッ、は、恥ずかしいッ!!」
どぉん!!!
一際大きな音がしてそれに次々と彩り豊かな花火が追随する。スターマイン、連射連発花火だ。
「あわわ、南さんに合わせる顔がないッ!覗き魔と一緒にいたなんて知られた日には…ひ…日には!!ギャーッ!!!」
「気付かれてはいないぞ。大事ない」
しれっと言うイタチに牡蠣殻はげっそりした顔を向けた。
「それはあなたの主観でしょう…?単に気付かない振りの大人の対応をされていたのだとしたら……顔が火を噴きますよ!!うわあぁぁぁあ!!!」
「お前が覗いていたんじゃないのだから関係ないだろう?何で騒ぐ」
「………」
呆れるイタチに何か言い返しかけ、牡蠣殻は頭を抱える。
「ああ、恥ずかしい…。助けになんか行くんじゃなかった…」
「牡蠣殻さん」
黙って事の成り行きを見ていた鬼鮫が口を開いた。
「南とかいう人は確か神田さん雪さんの関係の方でしたよね」
「は…?ええ、そうで……あッ、て事は雪さんも近くにいるかも知れない!?」
「かも知れませんね」