第35章 海へ来たらば ー暁with黒の教団ー
「いや、バレてる。バレてるぞ、リーバー。隠し切れてないからね、もう。もー、何なの、何かカッコ良くない!?リーバーさんン!?」
「…本当にリーバーはリーバーでもうちのリーバーとは大違いだ…」
「…こっちはリーバーじゃなくリーダーだっつってんだろ…。しつこいぞイタチ」
木立ちのふたりをよそに南とリーバーのやり取りは続く。
「気持ちって…」
「言わなくてもわかるだろ?」
その言葉に南がかぁっと赤くなった。
「そんな反応するなよ。っていっつも思ってるんだけどな」
じんわりと頬を染めて黙り込む南に、リーバーがする。
「期待しちまうだろ」
「ギーッ!ギーッ!何アレ、何アレ、カッコ良すぎない!?」
「ギーギー言うな。インコかお前は…」
「インコじゃない!リーダーだ!」
「ああ…。だから気持ち悪いのだな。インコならまだしも可愛げのあるものを…」
「…何してるんですか、あなたたちは…」
「ひゃう!」
突然声をかけられて、イタチとペインはビクッとして身構えた。振り向くと仏頂面の牡蠣殻が居た。
「ひゃうじゃないですよ、全くもう…。人が苦労して宇治金時と角太郎を運んだってのに呑気に出歯亀ですか」
眉根を寄せた牡蠣殻が首元に手を当ててコキコキと首を鳴らした。
「さ、戻りますよ。他の皆さんは反対側の浜に居ます。心配…してると思いますから、多分。まぁ兎に角早く戻りましょう」
「…矢張り反対側か…。太陰大極図そのものだな…」
「まだ言うか。止めろイタチ。陰陽とかもういいから。お腹いっぱいだから」
「お前の腹具合など知った事ではない」
「…別にお前に心配して貰いたくて言ったんじゃないぞ。そもそもそういう意味じゃないし…」
「それより牡蠣殻。肝心の宇治金時と角太郎は何処だ」
目を眇めたイタチに牡蠣殻は渋い顔をする。
「先にあっちに行ってます。さあ行きますよ」
「待て。ちょっと待ってくれ。今凄くいいところなんだ、牡蠣殻…ッ」
「見苦しいですよ、ペインさん。よそに出歯亀してないで早いとこ小南さんに謝って下さい。何か静かーにじーっと怒ってましたよ?空気が重々しくて敵いません」
「え?俺何か謝んなきゃないような事したか?」
「なかなか帰って来ないのに怒ってるんじゃないですか?心配してるんですよ。きっと。…多分。……だといいですね…」