第35章 海へ来たらば ー暁with黒の教団ー

「ああ、そう言えばそうですね。全く気付きませんでした。えーと、じゃあ大丈夫ですか？」

「じゃあって何だ、じゃあって！俺の尻とその周辺を何だと思ってる!?」

「あなたの尻とその周辺以外の何物でもないと思ってますよ。勿論。それ以上でもそれ以下でもありません。ジャスト尻とその周辺です」

「リーダーの尻とその周辺などどうでもいい」

「ええ、まぁどうでもいいですけどね？言い切り過ぎですよ、イタチさん。自分が同じ目に遭ったらどうします？厭でしょう？」

「俺はそんな間抜けな目に遭ったりしない。そういう設定になっている」

「…俺だってそんな設定にはなってないぞ…。言いたい放題だな、イタチ…。前に鬼鮫から聞いた通りだ」

「鮫の両生類などどうでもいい」

「わぁホントだ。言いたい放題だ。それで干柿さんに叩かれないで済むなんて羨ましい限りですねえ…」

「そういう設定になっている」

「スゲーな設定。俺も小南にいじられない設定にして貰いたい…」

「スゲーですね設定。私だって干柿さんに叩かれないで済む設定にして欲しい…。あと、雪さんの設定も是非神田さんに乱暴されないものにして差し上げたい…」

「？誰だ、雪って？」

「同士ですよ、同士。凄く奇麗で凄く手の早い色男に日々叩かれたり抓られたりしてる健気で気の毒な方の事です」

「そういう同士か」

「そういう同士です」

「それ俺も交ざってよくない？入れてくんない？」

「いやいやいやいや。あなたにはパラソルさんがいるじゃないですか」

「は？何言ってんの？何か腹立つな」

「何処へ行ってもそう言われます…」

ヒソヒソ言い交わすペインと牡蠣殻に、イタチが苛立った目を向けた。

「牡蠣殻。クーラーボックスと角太郎はどうした」

「クーラーボックス？…か、角太郎？」

「宇治金時の元と船はどうした？」

「は…？この期に及んでまだバカンスに拘る気ですか？」

「ここまで来てバカンスに拘らず何に拘れと言うのか」

「…クーラーボックスは兎も角、角太郎とかいう船はちょっと難しいかと…」

「難しくない」

「そりゃあなたは難しい事ないでしょうよ。自分でやる訳じゃないんですから」

「難しくない」

「だからあなたにしてみりゃそりゃそうでしょうねっつってんです。話を聞いてくれませんねえ…。耳も口も自由過ぎやしませんか、イタチさん」