第35章 海へ来たらば ー暁with黒の教団ー
「厭ですよ。何であなたにおごらなきゃないんです。馬鹿らしい」
「狭ぇじゃねえかよ、オメーの心もよ!うん!?」
「そうですよ。それが何か?」
「おいおい喧嘩すんな。イカ焼きくれぇ俺が買ってやっからよ」
鷹揚に言った飛段に角都が手を出す。
「千両になります。毎度あり」
「千両!?おいコラちょっと待て。この数分で随分物価が上がっちゃってっぞ?おかしかねぇか、角都」
「だからよ、こいつ計算できねぇんだって。うん」
「駆け引きだと言っただろう。頭の悪いテロリストめ」
「流石に二倍高は駆け引きになりませんよ、角都。当たって砕けろにも程があるんじゃないですかねえ…」
「二倍三倍当たり前、何でも先ずは言ってみる事だ。意外に無理が通って道理が引っ込まないとも限らないんだぞ。ドリームズカムトゥルー」
「おいおい。何年生きて来てそんな事抜かしやがんだ、オメェは。どうせ見んならもっといい夢見ろよ、うん?」
「濡れ手に粟、棚からぼた餅、瓢箪から駒、果報は寝て待て、夢とロマンがいっぱいじゃないか」
「墓場に金は持っていけませんよ」
「それは迷信だ。この二十一世紀に何を言っている。ドラえもんに粛清されるぞ、鬼鮫」
「…流石にあんなモンにやられる私じゃありませんよ…」
「そうですよ。干柿さんは青い狸になんかやられません。大体ハイシーズンのUSJで毎日やられ疲れてる干柿さんにそんな事言うのは酷ですよ。そっとしといてあげて下さいな」
「……牡蠣殻さん…何の話です」
「成る程、JAWSか。ぶっちゃけ一日幾ら稼いでるんだ?残念だ。俺もヒジキを必要とするアトラクションがあればこんなところでイカなど焼いていないのだが…」
「そうかぁ。鬼鮫はUSJで荒稼ぎしてんのかぁ。そりゃイカ焼きでボッタクられても痛くも痒くもねぇよな、うん」
「リアルに仕留められりゃいいのよ、こんな嫌味鮫は。仕留められてウォーターワールドで吊られてりゃいいのに、何でわざわざ生かして返してよこすのかしらね、USJ。…気が利かないったらないわ…」