第4章 これで萎えない鬼鮫は凄いー鬼鮫ー
「ギャーッ!!!!ヤダヤダヤダヤダ!!!!嘘だああァァ!!!!!そんな私はこの世にいません!!!!干柿さんの臨死体験のバカアアァァ!!!!」
「・・・面白いですねえ、あなた。飽きませんよ」
寝台に片肘で頬杖した鬼鮫は苦笑した。
「まあ、あんなあなたも悪くない。楽しみが増えましたよ」
「止めて!!止めて下さい!!!死ぬ!!もう死んでお詫びする!!ご免なさい!!!もうしません!!!」
「酒には強いのにアドレナリンには弱いんですかね?これも血の質ですか。目放しなりませんねえ・・・」
「うわああぁぁぁあ!!!」
「いいですよ。好きなだけ騒ぎなさい。そして自覚なさい。よそで恥ずかしい思いをしたくなければ、自重の上に自重するのですね」
余裕綽々で言う鬼鮫に抱き寄せられて、牡蠣殻は一際大きな悲鳴を上げた。
「もォぜってェやんねえ、こんな事ォ!!!!!」
「またやりますよ、こんな事を。私と。当たり前じゃないですか」
「厭ですよ!!!自分がヤダってだけじゃない、なんっで私、こんな身体中噛みアザだらけなんですか!?アンタの仕業だろ!?薬出せコノヤロウ!!!」
「ハハ、可愛いですねえ、あなた」
「バ・・・ッ」
「好きですよ、ちゃんと。私なりに」
「え?・・・は?あ、・・・・え?」
「死ぬときはちゃんと私が殺してあげますからね。安心しなさい」
「・・・あー・・・・ありがとうございます・・・?」
釈然としない表情で目を瞬かせる牡蠣殻に、鬼鮫はフッと笑った。
「少しお眠りなさい。寝付くまで見ていてあげますから本は止めなさい。いつも読みながら寝付いてますが、それではいよいよ目を損ないますよ」
「や、寝付くまで見てるとかいいですから。それより服を着ていいですか 」
「ずっと抱いていますよ。寒くないように」
「・・・・・」
牡蠣殻は何か言いかけて口を閉じ、また言いかけて息を吐いた。
「・・・はい、おやすみなさい」
「素直ですね。よろしい。よく出来ました」
牡蠣殻がやれやれと小さく呟いた気がしたが、鬼鮫は聞き流してその頭に手を置いた。
「・・・無事に目が覚めるといいですね」
「そんな事言われたらおちおち寝てらんないでしょうが!」
ガバと起き上がって牡蠣殻は目を三角にした。
「薬呑んでないですよ」
また寝台に片肘をついて鬼鮫は口角を上げる。
「あ、しまった。ありがとうございます」