第29章 わがまま兄さんーイタチ、鬼鮫ー
「…大丈夫だろうか…。……心配だ」
「…サスケくんなら風邪ひいたって馬鹿な無理はしないでちゃんと寝てると思いますよ。お兄さんと違って」
「!何故サスケの事を考えているとわかった?エスパー魔美か!?サイコパスか!?」
「……それを言うならテレパシストじゃないんですか。何です、よりによってサイコパスって。私に対する当て擦りですか?言っときますけど私がサイコパスならあなたもサイコパスですからね。暁丸ごとサイコパス集団ですよ。馬鹿な事言ってないでちゃんと雨宿りして下さいよ。お身体に障りますよ」
「誰が触らせるものか!」
「…イタチさん?大丈夫ですか?もう熱がある?」
「熱などない!」
「じゃ尚更大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないように見えるか!?」
「…だからこういう話になってるんですよ。イタチさん」
「俺は大丈夫なんだ。大丈夫じゃないのは…心配なのは…サスケだ!」
「そうでしょうね。サスケくんもこんなあなたがさぞ心配でしょう」
「…違うぞ、鬼鮫。俺がサスケを心配しているんだ…」
「はあ」
「風邪を引いていないか、寒中水泳なんかしてないか、甘物は足りているのか、オカマ蛇に触られていないか…あ"あ"あ"あ"あ"!!!サスケェ!!!」
「気がすんだら雨の当たらないところに移動して下さいよ」
「お体には触らせないぞ」
「安心して下さい。あなたが死にかけてたって触りませんよ、面倒な」
「薄情な奴め」
「何を今更。これでも私にしちゃ随分気を使ってるんですがねえ」
「お前の気遣いなど要らない」
「流石に怒りますよ、私も」
「お前が怒ったところで何とも思わない。俺が気になるのは、俺が気になるのは…!」
「弟さんなんでしょう?本当にうちはの気質は面倒で傍迷惑ですねえ…。ツンデレも結構ですがスケールを考えて下さいよ。生死に関わるツンデレは頂けませんよ」
「ツンデレ?違う。俺はこう見えてずっとデレ続けているんだ」
「…デレで一族殺しってあなたどれだけメタな事やらかしてんです。自分勝手な…」
「俺の情はカルピスの原液より濃い。呑み慣れない者は皆俺から離れて行く…」
「そりゃ誰だって糖尿病はごめんですからね」
「カルピスの原液は旨い」
「甘物に息の根止められますよ」
「俺はまだ死ねない!まだやらねばならない事があるんだ!」