第23章 クリスマスにならない(ぐだぐだ)ー暁ー
「……角都も勝った?」
暁の目が出納係に集まる。
長老は満足げに頷いた。
「牡蠣殻は何かと金になる」
「そうですか。私はこの人といて得した事なんかありませんがね」
鬼鮫は眉を上げて牡蠣殻の耳を引っ張り上げた。
「や、何ですか、何なんですか!私悪い事しました!?」
「してませんよ、別に」
「ですよね」
「ただ忌々しいだけです」
「またそういう事を…」
「ぐずぐずしないでさっさと支度しなさい。このままじゃクリスマスが忘年会になります。クリスマスを理由に呑みたいのでしょう?」
牡蠣殻を引きずって鬼鮫が広間を出た。デイダラと藻裾がその後を追う。
「……角都。幾ら勝ったんだ?」
それを見送ってペインが遠い目をした。
「内緒だ」
「内緒か…。まさかその金を暁の運用に注ぎ込んでくれるなんて事は…」
「金輪際ない」
「でしょうね」
即答する角都にペインはひっそりと頷いた。
「…老害だな…」
「黙れゴルゴ糖尿」
イタチが静かに呟き、まだまだ達者な角都は勿論すかさず切り返した。それを聞いたサソリが顔を斜め下に俯かせる。
「ふ…ゴルゴ糖尿…ふ…ハハハ」
「あーあー、またサソリんスイッチが入ったぞ。笑わせんなって、うるせぇから」
飛段が面倒そうに耳に指を突っ込んで半眼になった。
「呑み食いしたら錆びて壊れる人造人間なんだから、笑うくらい好きにさせたら、飛段?笑って悲惨な身の上を忘れようとしてるのよ、コロ助は」
ポインセチアの鉢を抱えた小南が飽くまで穏やかな目でサソリと飛段を見やった。
「は?」
サソリがうっそりと顔を上げて小南を見返す。
「コロ助だと?」
「あら、ベムの方がいい?」
「ベッ、ベム!?テメェ、コロ助はカラクリ人形だしベムは妖怪人間じゃねえかよ!?違うだろ?何か違うって思わねえのか!?思わねえなら今から思え!俺はコロ助でもベムでもねえ!あんな雑なモンと一緒にすんな!」
「…あまり変わらないじゃない。3つ並べたらどれがサソリか当てる自信ないわよ、私」
「どんだけ節穴だ、テメェの目は!?かなり深刻だぞ?失明か脳疾患から来る幻覚かってくれえ深刻だ!病院行けよ!何なら救急車に乗ってけ!そんくれえ深刻だ!」
「止めろ!よってたかって小南を責めるな!」