第23章 クリスマスにならない(ぐだぐだ)ー暁ー
馬鹿笑いした牡蠣殻に角都の拳骨が落ちる。
「ハゲはデリケートな男の聖域だ。無闇に笑いものにするな」
「いたた…ちょっと角都さ……」
「牡蠣殻を庇うつもりはまるで全然少しもないが、平等に見て先に聖域を犯したのはお前ではないのか、ろぅ…いや、角都」
キリッ。
「またお前か、イタチ。今日の分のお前とのコミュ量は既に定量を越えて長老ゴルゴなんか見たくもない。あっちへ行って餡子でも舐めていろ」
「長生きばかりして事の本質を何ひとつ理解していないのだな、角都。……餡は舐めるものではない。呑むものだ!」
「…お汁粉じゃないんだぞ?」
「無論。ぼっそぼその餡の話だ」
「……もういい。勝手に餡で窒息するなり生活習慣病を患うなりしていろ。俺はお前のような破滅的な食生活で寿命を縮める気はない。十分に健康に注意して長寿を誇るつもりだ」
「それ以上長生きする気か。お前の長生きには皆もう腹いっぱいだぞ。何事も程々だ。行き過ぎれば持て余されるものだ。そんなこともわからないのか、老害」
「ぼっそぼその餡子を呑むようなヤツに程々を説かれる覚えはない。糖尿」
「なーんかごちゃごちゃ言ってっけどよ。そもそも程々なんて加減がまともに出来るヤツがここにいる訳ねぇだろ」
喉を擦りながら飛段が苦笑いする。
「落ち着けって、なあ。折角のクリスマスじゃねえか」
「折角のクリスマスだ?テメェジャシンはどうした。テメェのジャシンとキリストじゃ完全に畑違いだろぉがよ、あ?」
つまらなさそうに周りのやり取りを聞いていたサソリが、呆れ顔で舌打ちした。飛段は明るく笑って顔の前で左右に手を振る。
「いやぁ、クリスマス宗教関係ねえし」
「…おい、何言い切ってんだこのバカが。出るとこ出てそんな事言ってみろ?慈しみ深い連中に情け深くミンチにされっぞ。ミンチに…ミンチ…オメェがミンチか……何だ?考えてみりゃ凄く愉快だな。ははは、ザマァみろ」
「何笑ってんだよ?俺ァ死なねぇんだぜ?残念でした〜」
「ミンチんなっても死なねぇのかよ。ぶ…ッ、最悪だな!どうすんだオメェ、どんなミンチになんだよ?ぶははははッ、ミンチになっても俺に話しかけんなよ?サソリ、助けて(←裏声)なんて言うなよ?言うんじゃね……サ、サソリ、助けて(←裏声)……ぶ…、は…ははははははッ、くっだらねえ!バカじゃねえのか、おい飛段!」