第23章 クリスマスにならない(ぐだぐだ)ー暁ー
「カップルで溢れる街中にあの中学二年生が思春期特有の病に任せて制作したような仕様もない鎌を担いで繰り出す気か。血走った目でカップルを物色して次々に襲いかかるんだな?傍目にはリア充を僻んでトチ狂った気の毒な独り者の衝動犯罪にしか見えないと思うがいいのか?そうか、いいのか。まあいい。お前が人目を憚らない馬鹿なのは今始まった事ではないし、クリスマス万歳の手も下がる程の同情と共感の目で生温かく見守られながら、お前なりに充実したイブを過ごすのも悪くはないだろう。俺は俺で上手くするとブタ箱行きのお前の代わりに新しい相方と組めるしな。いいか、やるなら半端をするなよ。間違いなく射撃班か機動隊を呼び寄せるまでやるんだ。何なら自衛隊が動く程に暴れるといい。そんなお前の活躍にジャシンもさぞ喜ぶだろう」
「ははー、そう?やっぱそう思う?だよなぁ、ジャシン様ァ喜ぶよなぁー」
ニコッとした飛段に全員が注目し、次いでほぼ同時に目を反らした。
サソリが傀儡を弄りながらボソボソと角都に話し掛ける。
「…テメェの台詞が長過ぎて最後ンとこしか頭に入ってねえみてぇだぞ、あのゾンビパンダ」
「……矢張りそういう事なのか。喋り損か。損か。損したのか、俺は。…損…。…猛烈に腹が立つ…」
「落ち着け、老が…いや、角都。俺は隈なく聞いていた。だからといって何の感慨も抱かなかったが、少なくとも聞いていた者がいたという点に於いて損はしていない。損得に拘るろ…いや、角都には朗報だろう…」
何処から出したのか、サンタの赤い帽子をためつ眇めつしながらイタチが淡々と角都を慰める。
「お前が聞いていたと聞いても腹しか立たん。反って損した気になった。…もしかすると俺とお前は物凄く反りが合わないではないかと思い始めているのだがどうなんだろうな、ゴル…いや、イタチ?損をさせる相手は須らく天敵だというのが俺の来し方だからな」
「ふ…。大丈夫だ、ろ…いや、角都。俺はサスケ以外の何者に嫌われてもひとぉっつも!ぜェんっぜん!構わない。お前に嫌われたところでなぁーんにも!まるっきり!感じるところはない。安心していい。お前を許そう」
「…俺の耳がさっきからミーミー警告音を立てているのはお前が有害物質だからか?」