第23章 クリスマスにならない(ぐだぐだ)ー暁ー
「何で私に飛び火するんです」
全く関係ない顔でトントンと卓を指で鳴らしていた鬼鮫が眉を上げる。
角都は真っ向からその剣呑な目を見返して帳簿を閉じた。
「知らぬ顔をしていないで相方の静かな暴走を止めろ。地味で派手に迷惑だ」
「最愛の弟さんの話もまともに聞かない人が仕事の相方の話なんか聞く訳ないでしょう。昨日も大嫌いな餡菓子を送り付けられてますからね、サスケくん。今月に入って三回目です。その度小荷物扱いの分厚い抗議の手紙が届いているのも関わらず、この人今度は大晦日に送り付ける甘物の手配を始めてるんですよ。沖縄からちんすこうを取り寄せて可哀想なサスケくんに転送する気満々でいますからね、凄いずれっぷりでしょう?私には手の着けようがないし、あったって着けませんよ、面倒だから。それにはっきり言わせて貰えば、周りが馬鹿ばかりなのは何も私に限った事じゃありません。ここはそういうところだし、あなたもその一角を担う一端の馬鹿です」
「お前もその一員だという事を忘れていないだろうな、鬼鮫」
「気安く何度も呼び付けないで下さいよ、苛つきますねえ」
「何か用でもあんのか、鬼鮫?さっきっからソワソワしてんな、うん?」
ニヤニヤしながら聞いて来たデイダラに鬼鮫は口角を上げて笑い返した。
「そういうデイダラはやけに退屈そうですねえ。何の予定もないのなら、サソリに大人が持つには嗜好性の偏った人形の家を作ってやるか、汐田さんと生きるか死ぬかの泥仕合みたような雪合戦でもしていたらどうです?暇なんでしょう?」
「何でオイラのスケジュールはその二人でしか埋んねえんだよ?馬鹿にすんじゃねえぞ、うん」
「そうだぜ、鬼鮫ェ。さっきイタチも言ってたじゃねえかよ。狭くて粗末なデイダラの交友関係に口出しちゃなんねえって。可哀想だろ?」
「そういうお前もジャシンに祈る以外の予定はあるのか、飛段」
突っ込みに突っ込まれて飛段はヘラッと角都を見た。
「おらァ忙しんだよ。今日みてえな日は生贄が佃煮ンするくれえウロウロしてっからなァ、手当り次第に捧げ放題だぜ?クリスマス万歳だよなァ」