第23章 クリスマスにならない(ぐだぐだ)ー暁ー
「止せ、鬼鮫。風土は関係ない。何処に産まれようとサソリはバービー愛好者だ。愚弄するな」
キリッ。
「…オメェも黙りやがれ、イタチ…」
「バービー強化の予算なら出さんぞ」
「は?」
「頼まれる前に釘を刺したんだ。出来る出納係は一手先を読む」
「…アホか…」
「サソリのクリスマスプレゼントについてはともかく」
「ク、クリスマスプレゼ…ッ!?おい、俺は要らねえぞ!?リカもバービーも要らねえからな!?」
話を流れを切ったペインにサソリが食ってかかる。
「念を押さねえでもいいって。何なら俺が買ってやるぜ?それくれェならよ」
飛段が優しい顔で鷹揚に言った。サソリの目が吊り上がる。
「何ならハウスもつけっか?おい、デイダラ、オメェ作れんじゃねえの、リカやバービーの家くれェ」
「うん?作れねえでもねえけどよ。ヤだ。何でオイラが旦那の為にそんな事しなきゃねんだ。どうせならも少しヤル気の出るモン作りてえよ。ヤル気の出る相手の為にさ。うん」
「あのちっこい姉ちゃんとか?」
「……オイラにも選ぶ権利ってモンがあんだぞ、うん?旦那かイモ裾かじゃオイラが可哀想だろ?」
「選べるだけの選択肢があるのか?」
キリッ
「…イタチはちょっと黙ってろ。お前は核心を突きながらボケて来るから異様に人を苛つかせる。自覚を持てないなら黙ってろ」
角都の突っ込みにイタチは小さく頷いた。
「空気を読めという事か。…確かに真実はときに人心を抉る酷いもの。今後デイダラの狭くて粗末な交友関係についての口出しは控えよう…」
「…だからそういう事をいちいち言わんでもいいと言ってるんだ」
「そうか…。しかしひとつだけ言っておこう。俺はKYではない。ただ事実に対して誠実なだ……」
「だから言うなって、そういう事を!黙れって、何が駄目かわかんないなら!空気悪くなるばっかりだから!」
「…何故声を荒げる?老人性ヒステリーか、角都。落ち着け。…お前程の男が老害呼ばわりされる姿は見たくない…」
「俺が老害ならお前は一貫して害だ。そろそろ本当に黙れ、ゴルゴ13」
「…ふ。俺がゴルゴならお前はラスプーチンだ」
「俺は僧侶ではないし絶倫でもないし、先ずロシア人ではない。いよいよもって馬鹿なのか、お前は」
「俺は馬鹿ではない。うちはイタチだ」
「…鬼鮫。お前の周りは馬鹿ばかりだな」