第22章 厄介な誕生日
「私がイタチさん?貴方の目はバルス食らったムスカの目ですか?ナウシカにおけるアスベルですか?それともまさかのヤムチャ⁉役に立たない点においては銀河系の覇者と言われる彼?そうも色々損なった日には、もうお日様も昇りゃしません。手遅れです。いやはやお労しい。慰めに抱き締めてさしあげましょうか?日はまた昇りませんでお先真っ暗かも知れませんが、取り敢えずこんな私でも女は海ですよ?」
「……よくまあそこまで一片たりとも訳のわからない事をペチャクチャと…」
「訳がわからない?トトロとナウシカとドラゴンボールが?」
「…また話が飛ぶ…」
「一般常識ですよ?」
「…もう何だっていいですよ、馬鹿馬鹿しい」
「ええ⁉世界のジブリと鳥山明が何だっていいなんて、アンタ非国民か?」
「うるさい人ですねえ…知りませんよ、そんな事」
「はあ。これだ。そんなんだから相方と私という馬鹿の別もつかなくなるんですよ、嘆かわしい」
「とうとう自分で自分を馬鹿呼ばわりですか…いよいよ手に負えない馬鹿になって来ましたねえ…」
「ねえ。その馬鹿がこんなデカいばっかりで理屈っぽい魚を抱えて任務をこなすような忍耐強くて出来た人になれる訳ないでしょう?万一なったとしても、甘物を主食に四六時中メランコリックに弟の事ばっかり考えてるような偏向した繊細さを、私が受け止めきれるとでもお思いですか。早々に自家中毒起こした挙句胃に穴が空いて息絶えますよ」
「イタチさんにしてみてもあなたなんかになった日には寸の間も保たず死ぬでしょうね。捕獲されたクリオネさながら、あなたという馬鹿な環境に耐えられるようなイタチさんじゃありませんから。気の毒に」
「だからお互いこのままが一番という事です。適材適所というやつですね」
「…ところで誰がデカいばっかりで理屈っぽい魚なんです?どさくさに紛れたつもりか何か知りませんが、はっきりそう言ってましたよね、あなた?」
「細かい事気にしちゃいけません。さらっと流して下さい、さらっと。魚らしく」
「………残念でしたねえ。私はそう後生のいい人間じゃありませんよ?知りませんでしたか」
「知ってますよ。貴方はそういう魚です」
「…まさか酔ってるんですか?いつも以上に失言と暴言が前のめりに出張っているようですが」
「酔ってなんかいませんよ」