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【フジ】従順な犬と気まぐれな猫

第1章 俺が従順な犬になった理由



「ふう、お風呂上がりのチューハイ最高!」


俺のシャツを着て、タオルで髪をわしゃわしゃととさせるその姿は
世の中の男のロマンではなかろうか。

小柄な彼女に俺のシャツはぶかぶかで、
お尻の下まですっぽりと被さってはいるものの、
片方の肩は露出し、胸元もこれまた…これまた…。


「もう罠だらけ!!!」

「どうしたの突然うずくまって」


お前は呑気でいいよな。いや、もしかしてわざと?わざとか!?そう思いたい。
「敵」に「攻撃」されてるんだと思えば、
そうこれはゲーム。それに対応するコマンドがあるはずなんだ!


「何か対処を考えなくちゃ…」

「ふああ、眠くなってきちゃったなー。ねえフジ寝よー」

「対処考えてる最中に攻撃されてまぁぁす!!!」


手強い、さすがだ繭子。
ここで追い打ちの一撃とは。
いやでもあとは寝るだけか。そうだ寝て朝を待つだけだ。
目を瞑って煩悩に勝て。

さすれば眩い朝が来よう…!!


「フジどっち側?私端っこ好きだから壁側でいい?」

「…はい?」


ちゃっかりと俺のベッドに潜り込む繭子。
えーと、えーと…?


「だから、言ったでしょ?寝るときも一緒って。」

「ちょ、それはまずいって!!!」


ああああ確かに言ってた!!一緒って、ベッドも一緒かよ!
ちょっとまってそれは、それはやばくない!?


「何がまずいの?小学生の頃よく一緒に寝てたじゃない」

「それはガキだったから…!」

「今もさほど変わんないよ」

「変わるからあああ!!」


主に煩悩の量。

だがしかし心の底では非常に嬉しいです、神様ありがとうと叫びたい。
ルールさえなければ、俺は人生の勝利者にでもなった気分だよ。

でも、ただでさえ生殺しだってのに、
これ以上、くっつかれたら。


「ま、逃げてもいいよ?弱虫ちゃん」


くすくす、と、出たよ小悪魔スマイル。
挑発に乗るわけじゃないけど、弱虫なんかじゃねーよ。


「受けて立ってやるよ」

「おーいいぞ男らしいぞー」


俺は意を決して、部屋の電気を消す。
布団に潜り込むと、繭子に触れないように横になった。


「お、おやすみ!」


あとは寝るだけだ。
そう思って彼女に背を向ける。


すると背中に。


暖かい温もりがくっついてきた。


ゲームは、ここからのようだ。
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