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【フジ】従順な犬と気まぐれな猫

第2章 恋愛ゲーム実況中



「…よくまあ、閉店まで飲めたこと」

繭子が呆れ顔で俺たちを見る。
只今、朝5時。
居酒屋の閉店時間だった。


「フジが繭子が終わるまでって効かねーんだもん」

「だ、だってよ!繭子ん家ここから遠いし!1人で帰るの危ねえし!!」

「私毎日1人で帰ってるんですが」


それ言われると何も返せないからやめて!


「もう。私よりもみんなが大丈夫?ぐでんぐでんなっちゃってさ。目据わってて怖いよ?送ろうか?」

「それはこっちの台詞だから先に言っちゃダメ!!俺、送るから!」

「フジ必死だねー」


側に居たい口実ではあるけど
やっぱ、ここまで来て女の子ひとりで帰らせるなんて出来ねえよ。


「繭子ちゃん観念してあげて。フジずっと飼いぬs…繭子ちゃんに会えなくて寂しがってたから」

「ヒラいま飼い主って言おうとした!!!」


もう完璧繭子の飼い犬扱いされてる。


「わかったわかった。ここは可愛いヒラに免じて私が責任もってフジを送り届けるということで」

「なんか逆ーーー!!」

「おう任せたぞ繭子。じゃあ俺たちはもう一軒行くから」

「任せんなよ!!しかもまだ行くのかよ!!」


なにかがおかしい。あれ?酔ってておかしいのかな?俺がおかしいのかな!?

俺は繭子に腕を引かれ、キヨ達はそれをニヤつきながら見守り、真逆の方向へと足を進めた。
やっと二人きりになれたけど
やはりシチュエーションなど思い通りにならないものだ。


「今日はありがとう」

「え?」


小さく混乱させておきながら
急に天使みたいにふわふわ笑うし

ほんと、1秒1秒。気が抜けない奴。


「ここんとこずーっと忙しくって。休みはないし、失敗しては怒られて、でも凹んでる暇も無くて、正直すっごいしんどくて。でも今日フジ達の顔見たら、なんだか疲れ吹っ飛んじゃったな」

繭子は言葉の終わりにもう一度、
ありがとう、と言葉を添えた。

そんなに辛かったなら、もっと前から行けば良かったな。
変な男心なんて捨てちまってさ。


「少しでも、元気にさせられたなら良かったよ」


俺ははにかみながら繭子の頭を撫でると
彼女は嬉しそうに小さく微笑んだ。

空は青とオレンジのコントラスト。
朝焼けが俺たちを照らした。
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