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【フジ】従順な犬と気まぐれな猫

第2章 恋愛ゲーム実況中



「いらっしゃいませー!」

威勢のいい声が店内に響く。
そこで案内されたのが、

4人用テーブル。


「なんでお前らもいるかな!?」


「は?お前だけ良い思いさせようなんてそうはさせねーよ!」

「よーし飲むぞ!!フジの奢りなんだよな?」

「繭子ちゃんどこかなー」


繭子に会いに居酒屋に来たわけだが
もれなくキヨとこーすけとヒラがついてきた。


「でも、こうでもしないとフジここ来なかったでしょ?」


ヒラがしたり顔でそう言う。


来ようと思えばいつでも来れた。
場所も知ってたし、決して遠いわけでもなかったし。

ただ、繭子目当てで来る事がバレバレで
なんとなくダサいかなって男心。

女のケツ追っかけてるのはもう周知の事実ではあるけど
それでもどこか追いかけられたい気持ちがあるっていうか。


繭子の方から、「会いたい」なんて言葉が聞けたりしないかなって。


「…言うわけねえよなー」


俺がため息をつくと
こーすけが注文ボタンをピっと押す。

十数秒で駆けつけてくる足音に、俺は勢いよく振り返る。


「うぉ、びっくりした」


隣にいたキヨがビクつく位には
俺の勢いは凄まじかったらしい。
そして次の瞬間、それは現れたのだ。


「お待たせいたしま…あああ!?」


念願の、彼女だった。
驚きの声をあげる繭子もこれまた可愛いです。


「わあ、フジ今足音だけで繭子ちゃんだって解ったでしょ、こわーい」

「ストーカー並だな」


うるさいよ。


「びっくりしたー。最俺集結してるの久々に見た気がする。なんだか懐かしいな」

「高校以来、集まることなくなったもんな」

「キヨ変わってないね。なんか顔だけでわかるわ」

「それどういう意味!!」


一気に場が和んだ。
来てくれたことが嬉しかったのか、久々に集まったのが嬉しかったのか
彼女はふわふわと笑って見せた。

俺は彼女の表情に釘付けで、なかなか挨拶の一言も出ず。


「ほらフジ、念願の繭子だろ」


こーすけにバシっと背中を叩かれてやっと出た言葉が。


「え、えっと…ああああ好きだ!!!」

「相変わらず元気そうで何よりよ。はいお手」

「しねえよ!?」


繭子ってメニューがあれば酒と一緒に頼むのに。
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