第2章 恋愛ゲーム実況中
「つもる話は色々あるけど、とりあえず仕事させてもらうわ。で、どの高額メニューにする?」
「高額のもの限定にすんなし」
流石に忙しいだけあり、繭子は注文を催促する。
あー繭子ください繭子を80年分くらいください。
あれ、そのころ生きてるかな俺。まあいいやください。
「フジ、言いたいこと全部顔に出てるよ」
「あはは、気持ち悪ーい」
ヒラのツッコミに繭子が無邪気な笑顔でとてつもなく酷いこと言った!!
「接客中だぞ!気持ち悪いとはなんだ気持ち悪いとは!」
「お客様何にしますー?これオススメですよ激辛たこ焼き。今ならなんと僭越ながら私があーんさせちゃいますう」
「それお願いします(キリッ」
「安いもんだなお前も」
今度はこーすけのツッコミが入ったが気にしない。
あーんだぞ、お前。あーん。男のロマンあーん。
激辛たこ焼きとかただの罰ゲームメニューなことくらい解ってるし
それを食わせることが堪らなく楽しいであろうことも解ってるが、あーんだぞ。しつこいかもしれんが、あーんだぞ。
「俺ビール」
「僕ね、枝豆がいいな」
「じゃあ俺これー」
俺が悶々としてる間に他の3人も適当に注文すると
ああ悲しきかな短い時間。繭子は行ってしまった。
「まあいつどこで誰にあーんするとまでは言ってないけどな」
とかボソっと低音ボイスで残して。
「まてまてまてまてえい!!」
「あはは、フジおもしろーい」
おもしろくねえよ!!
くそ!!してやられた!!!!!
「…こんな感じでですね、俺はガキの頃から繭子には全く相手にされてない感じでですね」
テーブルに突っ伏すとヒラがよしよしと頭を撫でてくる。
お前は本当に良い子だよなあ。しみじみ。
「でもさ、なんだかんだ言って、お前ら一緒に居るじゃん。俺なんて数年ぶりだぞ会うの。」
「キヨだけじゃねえよ、俺もそんな会うことねえし、ヒラもだろ?」
「うん僕もそこまでは。フジが一番繭子ちゃんと一緒に居ると思うけどなあ」
考えてみれば。この4人の中では、繭子は俺と親しい気がする。
「僕が思うに、案外…フジが鈍いだけだったりして。」
「?」
ヒラの言葉を理解するのに、俺はまだまだ時間を要するのであった。