第3章 『2. 詐欺師の塒』
ウィル「っ!クラピカ!レオリオ!!
止まって!!」
私はすぐ後ろを走っていた2人を手で制して走るのをやめさせた。
その直後、私たちの目の前の影が一瞬で姿を消した。
残ったのは怪しく揺れる丸い影だけだったが、その場の霧が一瞬晴れ、何が起きたのかを私たちに見せてくれた。
ウィル「下がって!」
(でかいっ!)
クラピカ「っ!!!」
(いつの間にか前のグループと離されてたのか!)
レオリオ「なんじゃこりゃ!」
目の前にいたのは、背中に巨大な苺を実らせた巨大な生物がいた。
私が変な動きをしたと思った影はどうやら巨大苺が人の頭の位置で揺らされていたものだったようだ。
霧が深過ぎてそれを前方の集団と勘違いさせらてたままここまで来てしまったようだ。
クラピカ「どうやら前の集団とはぐれてしまったようだな。」
(どうする)
レオリオ「まじかよっ!」
ウィル「とりあえず動くしかないよ。ここでじっとしてたら獣の餌になる。」
私はゆっくり大きく息を吸い、心を鎮めていった。
誰にも見られないように瞳の色を濃碧へと変えた。
クラピカ「そうだな。だが、道がわからない」
ウィル「それは任せて。」
私はそれだけ言うと後ろを振り向かずに走り出した。
濃碧の瞳。
一切の感情を鎮め、真眼で世を見つめる。
真実を見つけ、行く道を照らす。
そう言ったきり後ろを向かない私だが、後ろの足音から半信半疑になりながらも私について来ることにした受験者を引き連れていた。