第2章 再会
治療を終えた少女は丸二日間眠り続けた。
いつものように隊舎で作業をしていた卯ノ花は突然、強烈な霊圧を感じた。
瞬間、隊舎に響く爆発音を聞く。
何事かと駆けつけた騒ぎの中心にあの少女が立っていた。
少女の全身から発せられる霊力に回りの隊士達は近付くことができずにいた。
禍々しい殺気と共に迸る霊力。
無表情の少女は焦点の定まらない瞳で何かを探しているようだった。
卯ノ花はその霊力の中を物ともせず進み、少女の前に立つ。
「殺す、殺す、殺してやる……!!」
錯乱状態の少女が呟き、一層霊力が膨れ上がる。
霊力の大きさからすれば死神の席官クラスほどありそうだ。
彼女を運んできた隊士の言葉が甦る。
『この子の霊力と霊圧で虚が消し飛びました。』
それを聞いた時はまさかと思ったが、あながち嘘ではなかったようだ。
「落ち着いて、もう大丈夫です。」
「お父さん、お父さんどこ?殺す、殺してやる!!お父さんを返せっ!!……返せぇぇぇー!!」
「ここはもう安全です。落ち着いて、落ち着きなさいっ!!」
卯ノ花の一喝に少女の肩がビクリと震える。
その瞳に僅かに光が戻り始める。
少しずつ焦点が合うと、卯ノ花を見つめる。
「お、お父さんは?どこ、ですか?」
嵐のような霊力が収まり始める。
「残念ですが、助かったのは貴女だけです。」
目を伏せて卯ノ花が告げる。
瞬間、収まり始めていた少女の霊力にさざ波が起きる。
「いやああああっ!あぁぁぁー!!!!」
絶叫と共に再び霊力が膨れ上がる。
マグマのような霊力が破裂する寸前、卯ノ花の手刀が少女の意識を奪った。