第9章 罪人
罪人の牢獄の前でルキアに極刑を告げた。
いつもと変わらない。
任務を遂行しただけだ。
私は冷静だ……
ルキアに背を向け牢獄を出る。
通路を歩く。
静かだ。
「随分冷静やったなぁ、六番隊長さん。ご立派、ご立派!自分の妹が死ぬってのにあの冷徹さ。サッスが六番隊長さん。死神の鑑!」
「バカ言えや。死神で死ぬだの何だのにビビってんのはテメーと九番隊長ぐれえのモンだ。」
「えーそうかぁ?」
静寂を破る二つの声。
振り返る朽木白夜の前には三番隊隊長の市丸ギンと十一番隊隊長の更木剣八がいた。
僅かに心が波立つ。
戯れ言を……
「…隊長格が二人も揃って副官も連れず……私に何の用だ?」
気に入らない。
ルキアの事で絡みに来ただけではないだろう。
気に入らないのはお互い様か。
優姫の事をこの二人も好ましく思っているのだろう。
四番隊の隊長に名指しで使いに呼んだのをまだ根に持っているのだ。
「いややなぁ。妹さんが処刑されるってンで六番隊長さんがヘコんでへんか心配しててんやんか。」
張り付けた笑顔で底のわからない男だ。
「ヘコんでんのやったら、酒でも何でも付き合おうと思ってン。だから、優姫ちゃんは呼ばせへんよ。」
いつもは底を見せない男が、優姫の名前を出すときだけは感情がむき出しだ。