第9章 罪人
朽木隊長の事が気になって、朝六番隊舎に向かった。
来てしまった……
迷惑、だよね……
でも、あの優しい方がどれ程苦悩しているかと思うと来ずにはいられなかった。
お顔を見て、お茶を淹れてから四番隊に戻ろう。
隊舎の中を歩くと隊服ではない着物を着た阿散井副隊長がドカドカと歩いていく。
あの先にあるのは……
そこは牢獄に通じる通路の扉。
中から阿散井副隊長の怒鳴り声。
ずいぶん砕けた話し方だ。
朽木ルキアさんと阿散井副隊長はお知り合いなのか。
女性の涼やかな声もする。
ルキアさんの声……
「今朽木隊長が報告に本部へ向かってる。そこで恐らくテメーの減刑を請う筈だ。あの人はテメーの兄貴だろ。みすみすオメーを見殺しになんかしやしねぇよ。。」
「いや、あの人は私を殺すよ。」
息が止まりそうになった。
どうして!!義理の妹のあなたがそんな風に言うの?
「私はよく知っている。あの人がどういう人なのか。朽木家に拾われて四十余年、あの人は一度だって私を見てくれたことはないよ。」
嘘だ、よく知っていたらわかるはず。
見てないのは、見えていないのは貴女も同じ……
不器用なだけで、あんなに優しい方なのに……
悔しさで涙が溢れそうになる。
ここにいても仕方ない。
朽木隊長は本部へ行っていていないのだから。
そっとその場を離れて優姫は四番隊に戻って行った。
その日の午後に罪人朽木ルキアの極刑が決まったと連絡が入った。
四番隊で雑務をこなしていた優姫はその連絡を聞くと隊舎を飛び出していった。