【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第3章 人気者の苦痛
「こないだ繭子ちゃんが家に来てさ!いや、ほんと可愛いわ、あれまじやべえわ!」
興奮しながら惚気話をするフジ。
「僕は一緒にデートしたよ~!買い物行って食事行って、楽しかったなあ」
その時の事を思い出しながら、嬉しそうに話すヒラ。
「はー!?飯なら俺も行ったし!!!終電ギリギリまで1日中一緒に居たし!」
競うように声を上げるキヨ。
そして、
「お前らいつの間にそんな関係になってんの!?」
知らないうちに一人取り残されていたこーすけ。
軽いショックと共に湧き上がる嫉妬心。
その矛先はもちろん、
彼女に向かれた。
***
大学の講義を終え、私は一息ついていた。
癖のように鞄からスマホを取り出すとLINEの通知がきている。
『繭子おまえいつ暇!?』
『何食べたい!?』
『家来る!?』
大量に。
「こーすけさんだ…え、何事。」
何もピンとこないLINEの内容にどう返事をしたものかと悩むが
既読してしまったのだから何か反応しなくてはいけない。
「…とりあえず『!?』って感じのスタンプ送っとこ」
「それはないと思うな!?」
「ひゃ!?」
後ろからスマホを覗き込むようにして
そこにはご本人、こーすけさんが居た。
「え、ちょ、ま、まじでびびっ…てかなんで私の大学、知っt」
「ヒラにこの間どの辺で会ったか聞いて近くの大学まで来てみた。大当たりで俺自身もびっくりしてるわ」
「その割には堂々としt…って、だめだめこーすけさん!身バレする!!こーすけさんわかりやすいんだから!」
当然ながら彼はサングラスもマスクもしてないわけだが
その風格というか体格というか、声とか雰囲気で分かる人は分かる。
なんせうちの大学には最俺ファンもいる。
「とにかく!ここから離れましょう!」
「よっしゃ、どこ行く!?」
「なんでそんな楽天的なんですか!とにかく喋んないで目立たないでー!」
なぜかはしゃぎ気味なこーすけさんを引っ張って
私は大学から離れた。
「お前はいつも落ち着きねえな」
「こーすけさんの為を思ってなんですけどね!怒」
最俺はどうしてこうも我が道を行く集いなのだろうか。
「…ところで用件は何です?」
こーすけさんはニっと笑う。
「デートしようと思って。」