【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第3章 人気者の苦痛
「浮かない顔してる」
「え?」
優しく笑って。
ぽむぽむ、と私の頭を撫でてくる。
「何かあった?」
鋭い。たった一瞬脳裏に過ぎっただけなのに。
「別に、これといっては。ただ最近、私を、ぴょこ太を見る人の目が怖いなあって」
「何か絡まれたの?」
「いえ、最近はまだ。ニコ生とかやると多少荒れる程度で、いつも遊びに来てくれる人達が励ましてくれたりしてるし」
むしろ荒れないニコ生は無いと思ってやるしかない。
ここまで名前が知られてしまうと仕方が無い。
私の事が嫌いだって人も存在するし
絵が嫌い、ゲームのプレイスタイルが嫌い、声が嫌い、
色んな声を聞いてきたから。
まあ、だからといって荒らしたり中傷したりする事はおかしいのだけど。
「アンチはどこにでも沸くからねー。僕たちも凄いよ、動画の荒らしは勿論、アンチのスレ乱立してるし」
「人気者は大変ですね…」
「繭子ちゃんも人気者だって証拠だよ。アンチがつくほど好かれてるってこと!僕も繭子ちゃん好きだし!」
さらっと嬉しいこと言ってくれた。
「ありがとう、私もヒラさんや最俺のみんなが大好きですよ。でも、みんなと仲良くする事が、最俺ファンの反感を買う事になるのなら、少し自重しなきゃなって思うんです。嫌な思いをさせてるわけだから」
「えー、そんなの知らないよー。僕たちが何で周りの為に色々我慢しなきゃいけないの?悪い事してるわけでもないのに」
「そうですけど…」
「良いんだよ、僕たちは僕たちゅのままで」
「…噛みましたけど」
「ああああ大事なところで噛んだああああ」
両手で顔を覆うヒラさんの仕草が可愛くておかしくて。
私は小さく笑った。
「…うん、やっぱ繭子ちゃんは笑顔が一番可愛い」
照れつつ、はにかむ。天使か。
「今日は腹黒くないんですね」
「それね、もうどっちのキャラで行くべきか迷ってる」
「キャラ言ってる時点でどっちも作り物なんですがそれは」
つくづく掴めない人だ。
「とにかくさ、もっと仲良くなろうよ。そうすれば繭子ちゃんのアンチも、僕『達』のアンチになるからさ」
「素敵な口説き文句ですね」
「でしょー。そうだ、仲良しついでに、このあと一緒にフジの家行こうよ!」
「…はい?」
急展開です。