【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第3章 人気者の苦痛
「腰痛い」
一晩中マフラーで拉致られた結果腰痛に襲われた。
それを兄に言うと「昨夜は激しかったね///」とか頬を赤らめてくるので
まるで養豚場のブタでもみるかのように冷たい目を向けてやったものだ。
勿論激しかった事など何もない。あるわけがない。あのまますぐ寝たし。
「さ、どっか寄ってこっかなー」
腰が痛かろうが大学生。
退屈な講義を終え1人ぼーっとしていると
「こないだのキヨの放送見た?」
「見たー!ぴょこ太が出てたね」
同じ大学の子達にネットでの自分の名前を出されるとは。
なんだか複雑っていうか、バレないかどうかが心配だ。
だって、
「最近調子乗ってない?」
「ちょっと同じステージ立っただけで仲良し気取りとかまじない」
おっかないんです。
最俺はみんな女の子に人気があるから
いつかはそんな意見も出てくるだろうなとは思ってた。
それが大学で聞くとは思ってなかったけど。
絵師しかやってなかった頃でさえアンチはたまに沸いたからな、
今なんて更に増えてるのだろう。
「…」
無意識にため息が出る。
私は鞄を持ち上げ、その場を離れた。
***
特に用事も無いが商店街を歩く。
どこか開発してない道は無いか、店は無いか。
探してみるも、そう目に止まるものはなかった。
…ある不審者を見るまでは。
「…なんか変な人居る」
あっちへウロウロ。戻ってきてこっちへウロウロ。
そしてキョロキョロ。
背格好はちょっと小さめ。
両手に紙袋を持って…あ、こっち向いた。
あれ、なんか見たことある。
あれ、なんかすごいキラキラした笑顔してる。
あれ、すっごい走ってこっちくる。
あれ、よく見たらヒラさんだ。
「繭子ちゃん!どして逃げるの!!」
「いや、だって凄い不審者だったから」
「ひどい!」
挙動不審者はヒラさんだった。
「何してたんです?凄いキョロキョロしてましたけど」
「ゲームで負けちゃって。フジにお使い頼まれてね。粘土とか絵の具とかどこに売ってるのかわからなくてさ」
「あーフジさんらしい要求ですね。あ、じゃあ一緒に探しましょうか?暇してたし」
「え!いいの!やったあ~繭子ちゃんとデート出来るなら罰ゲームも悪くないね!」
こうして私とヒラさんのはじめてのお使いが始まった。