【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第3章 人気者の苦痛
「お疲れ様でしたー」
「お疲れーッス」
4時間の収録が終わる。
あれから結局最後まで叫びまくりつつも
見事ゲームをクリアし、視聴者を大いに盛り上げることが出来た。
よく頑張ったね、もうゴールしていいよ、お疲れ様、
そんなコメントがずらりと並んだ時は安心して泣いた。
ずっとファンだった最俺の1人と共演、なんて浸る暇もなく
あっという間に終わってしまった。
「あー、やっとこのアパートから解放されるううう」
「次もここでいいな」
「やめてください!」
「あ、また敬語使った。罰ゲーム何にすっかなあ」
スタッフさんとも別れ、
今はキヨと二人、駅まで歩いている。
罰ゲームについてあれじゃないこれじゃないと楽しそうに提案する姿は本当に無邪気な子供だ。
でかいけど。
「あ。いい事思いついた」
「キヨのいい事はロクでもないってこーすけさんが」
「駅の近くにファミレスあるんだけどさ、何か奢って」
「本当に罰ゲームさせる気なの…まあ、いいよ。キヨとご飯食べれるのは嬉しい」
「素直でいいねぇ!決まりな」
ファミレスでご飯。
本当に友達になれたみたいだ。素直に嬉しい。
(飯は私が奢るらしいけどな!!)
こうして私たちはファミレスに向かった。
***
「一応予算聞くわ。何万まで?」
「ファミレスで万単位払わせるな!」
「ジョークジョーク」
流すように軽く笑うと、キヨは定食セット、私はパスタを注文した。
店員さんが去るのを見届けると、キヨと目が合う。
何だか変な感じだ。
横に並ぶことはあっても、向かえ合わせになるのは初めてで妙に落ち着かない。
「まだ若干目赤い」
「え、うそ。そこまで泣いたわけじゃないのに」
「4時間あれだけ悲鳴あげてりゃなwww」
「もう言わないでよ…」
思い出すだけで恥ずかしい。
でもどうせ後でうpされるんだろうな…憂鬱だ…。
「でも繭子、可愛かった」
真向かえだと、目を逸らすことはできなくて。
「82点かな」
でも、
また微妙な数字にクスリと笑って。
「キヨは68点」
「低ッ!!」
「今日私を騙したから減点です!」
「え~」
でも、
ふいに見せる優しさは、プラス20点かな。
調子に乗りそうだから言わないけれど。