【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第3章 人気者の苦痛
「いぃぃやあああああ!!!」
「うぇああああ!!!」
「ぎゃああああ!!」
我ながら煩い。
もう女とは思えない悲鳴だ。
「あっはっはっはっは!!!」
「笑い事じゃないいいいい!!ばかー!!!」
只今キヨの人生あまちゃんネルにて実況中。
初のゲスト出演。
憧れ(憧れ…だった…よね?)の最俺キヨとの共演。
Q.私何やってんだろう。
A.悲鳴あげてます。
<プロの悲鳴www>
<まじぴょこ太の悲鳴うるせえwww>
<キヨ爆笑してばっかwww>
「いやあ、ほんとぴょこ太にホラゲやらせてよかったわー」
「も゛う゛ゴ ー ル じ で い゛い゛で ず が」
「泣きそうなってんじゃねーよ!!wwwww」
爆笑されながらペシっとお面を叩かれる。
「アヴッ」と兄の名前のような悲鳴が出た。
もう鬼だ、キヨは鬼なのだ。
「って、うわ」
視界が若干明るくなった気がした。
今のでお面がずれてしまったのだ。
耳に引っ掛けていた紐が片方外れ、半分だけ生の視界が見えていた。
『手はコントローラーだ。
瞬時に手を離しお面を支えなければ顔がバレてしまう。』
こんな考えがたった一瞬でよぎった、
その時だった。
ドンッ
「ぷお!!」
今日はどれだけ謎い悲鳴をあげるんだろう。
私はタックルのようなものを全面から浴び、後ろに倒れた。
視界は天井の安っぽい蛍光灯を捉え、その手前に
ひとつの逞しい左腕が浮いていた。
「はい俺救世主ー」
それはキヨの腕だった。
カメラに映らないように私を腕ひとつで後ろに倒したらしい。
<ぴょこ太フェードアウトしたwww>
<タックルwww>
<今ちょっと顔見えた!!>
<誰か録画してる奴うpよろしく>
助けてくれたのはいいけど、もう少しやり方はなかったのかキヨさんよ。
「っていうかお前本当に泣いてんじゃねーかよ!!目ぇ赤!!www」
「うっさい!!泣いてない!!」
私はお面を素早く被り、体制を立て直す。
何事もなかったかのように再びカメラの前に座るが
コメントはもう盛り上がっていた。
<泣いたのwww>
<ぴょこ太可愛い>
<おいキヨ泣かせんなよ>
「悪いの俺!?」
「今日でキヨの好感度下がったね!」
「えええー!!」
でも、
少しだけドキドキしたのは内緒。