【最俺&アブ】実況に手を出したら大変パニックなことになった。
第2章 ニコニコ超会議へ出陣
会場につくと、思っていた以上に大勢の人で溢れていた。
暫くうろついてみたかったが、とりあえずは指定された控え室に向かう。
その途中、どこかで見たような顔とすれ違っては心の中で歓喜の悲鳴をあげる。
「場違いなところにいる気分だ…」
なんだかえらいところに来てしまった。
そそくさと逃げるようにして自分の控え室に入ろうとしたが
なんとも情けないことにドアに鞄を引っ掛けて派手に転んだ。
誰も見ていませんように。
そう思いながら恐る恐る後ろを振り返ってみる。
すると
「だ、大丈夫!?」
一人の男性がわたわたとしながら駆け寄ってきていた。
ああもう死にたい。
「こ、転んでません!!」
「いや思いっきり転んでたよ!?」
うう、融通効かないこいつう…(そういう問題じゃない)
「ほら」
「え、わ、ありがとうございます…」
その人は私の手を引っ張って立たせてくれた。
よく見ると整った顔だ。
「どうかした?」
「えあああ!?な、なんでもないです!すいません!」
ジっと見てしまった。何をやっているんだ私は。
散らばった荷物をパパっとまとめて拾う。
まったく恥ずかしいったら。
はやく控え室に戻ろう…
「…あの……?」
今度は相手がまじまじと私を見ている。
「え、えーと???あのぅ…?」
「…あっ!ごめんごめん!可愛い子だなあってつい。」
えへへ、と頭を掻く仕草をして笑う。
なんとまあ恥ずかしい事を簡単に言えちゃう人なんだ。
「ここに居るって事は、君もスタッフなの?」
「スタッフっていうか、一応、出演者です。」
「そうなんだ!?俺もなんだけどさ!じゃあ後でまた会えるのかな!」
「たぶん、そういうことになるんでしょうか。私も今回は初参加なもので。あ、ここだけの話、一応SPゲスト扱いなんですよね。だから告知にも私の名前は載ってなくて。」
「そうなの!?」
そう、今回はシークレットゲストとしての出演だった。
ポロっと言ってしまったけど、まあこの人だけだし良いだろう。
「じゃあ君が何者か答え合わせは本番でのお楽しみってことで。」
「そうですね。私も楽しみです、貴方が誰なのか。」
そう思いながらも、私たちは互いに思っていた。
「「(どっかで聞いた事ある声なんだよなあ)」」
答え合わせまであと少し。