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クチナシ【鬼灯の冷徹】※不定期更新

第3章 無給労働


この展開は予想はついた。ついたのだが、この状況は解せぬ。

「解せぬ、度し難い、あいつは原作より鬼だ」

鬼灯の口から告げられたのは、監視という名のタダ働きだった。勿論嫌だと抵抗したのだが、有無を言わせぬあの真っ黒なオーラを目の前にして、それ以上の抵抗の声を引きつった顔でおさめざるをえなかった。

(くそ、あのお粥に絆された自分が憎い)

あれは確かに美味かった。
聞くに鬼灯のお手製だという。
優しさを垣間見た気がしたのだが、どうやら勘違いな上に恩にきせたつもりらしかった。

「おのれ、てめーの血は何色だってんだ!」

掃除を命じられた叶弥は、服の予備がなく元々着ていた服を洗われそれに着替えさせられた後、床の拭き掃除をさせられていたのだった。
しかも、鬼灯が働いている閻魔殿の法廷(叶弥が最初に柱に縛られていた所)の全面という嫌がらせ付きで。

「あなたは雑用係です。大して何かができる訳でもないでしょう?ああ、衣食住は保証しますので。給料?その衣食住で相殺ですかね」

聞こうとしたことを一気にまくし立てられて思わず閉口した。
極めつけは、カノンは白澤の所へ派遣ということになったらしく、別れの挨拶もないまま離れ離れになってしまったのだった。
涙腺が緩む暇もなく、鬼灯の容赦ない監視の目が休む暇を与えない。

(仕事しながらこっちまで完全に監視してるし!なんなんだあいつは、阿修羅みたいに顔と手が余分に付いてるんじゃないの!?)

目つきの悪い鬼灯に負けないくらいに鬼の形相の叶弥からは、禍々しい黒いオーラまで漂っている。

「白澤なら、こんな仕打ちはしないよね、きっと」

ボソッと思わず呟く。
鬼灯が聞き逃す訳もなく、遠方から投げられた金棒が見事に床に突き刺さって叶弥は真っ青になってしまった。

「あ、あ…危ないだろ!今顔ギリギリだったし!もう少しで頭が砕かれる所だったし!床にめり込んでるし!」
「あなたが無駄口を叩くからですよ。ほら、大理石の床が粉々になってしまいました…当分食事は質素なものになさい」
「粉々にしたのはお前だーーー!!!」

床の修繕費を叶弥に被せるらしい。
暗に給料天引きと言っているのがわかって、最早叶弥は般若のように怒り狂わんばかりだ。

立ち上がると、突き刺さった金棒を右手に握る。

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