第8章 会いたくない
「あ、あの席はちょっと…!」
え?
あいつの声?
脳裏に焼きつくほどの衝撃。
別れた元彼に気持ち悪いほどによく似た声。
その声色は、嫌な記憶を引っ張り出すもので、私にとって不快でしかなかった。
「な…んで、」
運ばれてきたフレンチトーストを睨みながら、葛藤する私。
「どうしました?」
吉野さんが隣から覗き込み、心配そうに声をかける。
「い…いえ」
結城くんは終始無言のままこちらを見ていた。
「そ、そういえばおふたりの共通の知人ってどんな方なんですか?」
状況を立て直すべく、新しい話題を振る。