第8章 会いたくない
「どうぞ」
「あ…ありがとうございます」
戸惑いを隠しきれていなかったのかな?
吉野さんがサッと立ち上がり、自分の隣の椅子を引いてくれた。
ここまでされては、いまさら結城くん側に座ることもできず、
エスコートされるがまま、私は吉野さんの隣に腰を下ろした。
「いかがいたしましょうか?」
颯爽と駆けつけたホーススタッフさんがメニュー表を開いてくれる。
「フレンチトースト、お願いします」
甘くてジューシーないかにも女の子の好きなメニュー。
別に、男性がいることを意識したわけじゃ…。