第8章 会いたくない
「ん…?もう…朝?」
目をこすりながら、ゆっくりと体を起こす。
窓から差し込む光は淡く輝いて、車窓から見えるのはのどかな田園風景。
列車は今、田舎道を進んでいる。
「ふわぁ…」
そういえば、あまり風景を楽しんでいないような。
都会のビルが立ち並ぶオフィス街は息がつまるけど、
広々としたどこまでも続く大地は、いつまでも見ていられそう。
あの大地の真ん中で寝転がって、湧き水を探しに行ったりしたら、自然を堪能できるんだろうなぁ。
「っと…朝ごはんといきますか」
独り言は寂しさを紛らわせるため。
二度寝しなよと誘うベッドを振り払い、ある程度身だしなみを整えた後
「皆さんにも会えるかな?」
期待を胸に部屋をあとにした。